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6/21本の交換会「勝負」
No:810 投稿者：4期　岩切 投稿日：2006/06/19 Mon 22:15:23

●推薦本『スローカーブをもう一球/山際淳司』

●コメント
「スポーツ」の時に紹介しようかとも思っていましたが、「勝負」の回にとって置きました（まさか次週に回ってくるとは思っていませんでしたが）。

スポーツにとって試合は欠かせないものであり、試合である以上、勝負が必ずつきものなのは間違いありません。
その勝負をめぐって、時々にわたって、幾多の名ドラマが生まれます。そして、人知れず繰り広げられるドラマも生まれます。山際淳司は、それらのドラマに対し、見事な距離感を保ちながら、そのドラマを描き切ります。

ふと、いまの大学生の諸君は、もしかして、山際淳司というスポーツノンフィクションライターを知らないのではないか？と思ってしまいました。
というのも、彼は1995年に46歳という若さで亡くなっているからです。

この本は短編集です。
「Number」というスポーツ雑誌がありますが、その創刊号に寄稿されたという『江夏の２１球』。
1979年の甲子園、箕島対星陵の激闘を描いた『八月のカクテル光線』。
野球名門校でもない高崎高校が妙な変則ピッチャーを擁して勝ちあがっていく、表題作でもある『スローカーブをもう一球』。
その他、『ザ・シティ・ボクサー』、『ジムナジウムのスーパースター』、『背番号９４』、『たったひとりのオリンピック』、『ポールヴォルダー』。

これら珠玉のルポがこの本には描かれています。

自称「スポーツが好きだ」という方で、この本を読んだことがないという人は、断言してもいいですが、はっきり言って、あなたはモグリです。

山際淳司が生きていれば、彼は日本が出場するようになったワールドカップを、どのように描いたのでしょうか、、、本当に惜しい方を亡くしたなあと、この本を読むたびに思います（何度も読めるスポーツノンフィクションって、そうそうないぞ、普通）。