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「書店日記」&「今月の雑誌」7,8月
No:5259 投稿者:三戸 投稿日:2017/07/05 Wed 17:18:17

2017年7,8



今年も半分過ぎた。
このコーナーも続いてはいるが、執筆者は限られてきている。
ここに本を紹介していなくても、
本を読み続けている、
毎月3〜4回は書店に行っている、
であってほしい。

《書籍》


(三戸)
〇坂本光司『日本でいちばんたいせつにしたい会社 5』あさ出版《お薦め度:A》
「今更」ではあるが、やはり、「こんな会社があるんだ」と言うより、「こんな会社を創れるんだ」と感動する。
リーマンショックで経営不振(売上高前年比7割減!)に陥っても、ボーナスを出そうとした社長に対し、
「こんな時になぜ出すのか!?」と怒り出す社員、「要らない」と社長に行った社員の奥さん。
子供の学校行事がある日は休めという業務命令、周りの社員が「明日は参観日ですよね」と声をかけてくれる、
そういう会社だからなんだなあ。
従業員40名の特殊鋼の専門商社だから、特段の競争力を持つ商品があるわけじゃない。
経営者の「思い、理念」が可能にしている。
だから、[どの会社でも“日本で一番たいせつにしたい会社”になれる!」

〇藤本・古河・渡邉 編『反「大学改革」論 〜若手からの問題提起〜』ナカニシヤ出版《お薦め度:B+》
昨年の「最終講義」で語ったこのテーマ(人文社会系学部は不要か?)をずっと抱え続けている。
昨年春の学会でもしゃべったし、この夏にビジネス系教育会議で講演も依頼されている。
だから、買った。
君たちにとっては、直接円がないテーマだろうが、
第1章「PDCAサイクルは「合理的」であるか」や
第10・11章で論ぜられている「専門教育」や「ジェネリック・スキル」は
これからの日本企業にとり重要なテーマであろう。
だが、若手の文章は「生硬」だなあ…(だからB+)。

〇角井亮一『物流大激突 〜アマゾンに挑む宅配ネット通販〜』SB新書《期待度:B+》
企業・経営での関心あるテーマはいくつかあるが、
その最大の一つは「ネットと宅配」だ。
20世紀に「電信と鉄道」により大量生産(大企業)が生まれ、経営学も誕生したのだから、
「ネットと宅配」はそれに匹敵する「大革命」と言わざるを得ない。
このところ、これ関係の本は出てきているが、これはアマゾンを中心に書かれている。
アマゾンと「大激突」する企業は、
楽天、ヤフー、ユニクロ、セブン&アイ、ヨドバシカメラ、アスクル、ウォルマートだ。
150ページで全10章、激突相手が7社では、「薄さ」は見えているが、
この7社をどう対比させているか?は興味がある。


(笹井純也 26期 7/17)
先生、場立てありがとうございます。
週に一度の約束を果たせていない私ですが、書き込みます。

○丸谷才一『桜もさよならも日本語』新潮文庫《期待度:A》
「あとがきだけでも本の代金分があり、
 全部読めば1万円の価値がある(No:4437より引用)」と
先生が紹介した『日本語のために』の続編です。

「話し上手、聞き上手を育てよう」との項目から引用します。
「聞き方で大切なのは、相手が一言いふたびに口をはさまずに、
 まとめてものを言はせ、必ずしも相づちを打たなくていいから、
 遠慮しないで語れと表情その他でおだやかに励まし、
 しかも、その意見の大筋をたどつて、
 枝葉のところにはこだはらずに論旨をとらへることである。
 つまり一つながりの論述のなかで、
 大事な部分とさほどではない部分とを区別し、
 後者にはとらはれないで前者に留意するわけだ。(p.47〜48より)」

○カズオ・イシグロ『夜想曲集』ハヤカワepi文庫《お薦め度:A−》
○ヘッセ『デーミアン』光文社古典新訳文庫《お薦め度:A》
○森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』角川文庫《期待度:B+》
人の悩みや苦しみに気付けたり、
今より少しでも、心の機微を察せるようになりたい、
と小説を読み始めました。
宮城谷昌光、司馬遼太郎、山本周五郎、吉川英治は、
このテーマからは少し距離がありそうだと思い、ラインナップに入れておりません。
(どうでしょう…。)

ところで、
長崎県大三戸ゼミにて、本の交換会が始まったようですね。
『夜は短し歩けよ乙女』は第2回交換会「小説」にて出品されたものです。
最近急速に書き込み数も増え、少しずつ報告にもなってきていて、
楽しみになっています。
 ・「テーマ「友情(仲間・友達から変更?)」で、
   『何者』が選ばれるのか!(ストレートな選び方ではないにしろ、
   確かに「友情とは何か」を考えさせられる気もする…!)
   『容疑者Xの献身』か!(愛や盲信、ではなく…?)」
 ・「ルイス・サッカー『穴』は初めて知ったなぁ。
   (紹介文もあるし、今度探してみよう。でもニューベリー賞ってどんな賞だ?)」
 ・「『アヒルと鴨の…』は吉川英治文学新人賞、
   『夜は短し…』は山本周五郎賞、直木賞候補、を踏まえて選んでいるはずなのに、
   今年度の受賞作や、賞の名を冠した著者の作品はないのか。」
等と読んでいます。

散見される誤字も(本来なら良くないのでしょうが、)
投稿者の世界観が表れているようで、面白く読ませてもらっております。
(強いのが看守だったり、ナミヤ雑貨奇蹟が起きなかったり。
 黄金抱いてんだり、短いのがだったり…ミニスカート?
 十五少年の青年記は、土佐日記のようなものと想像しました!)


○日々野(7/27 2:00)
随分ご無沙汰してしまいました。実は書店通いも間が空いてしまっておりました。恥ずかしながら。
久しぶりに新書を買って帰り、数ページを読んで、脳のコリがほぐれるような感覚を思い出します。

養老孟司/名越康文『「他人」の壁』(SB新書)《期待度:A》
壁シリーズいつまで続けるのかなあ?と思うときもありますが、その時々の話題や社会動向を踏まえて語られるからまた読んでみるかなという気になります。
今回では、AIや反グローバリズムなど。

國分功一郎/山崎亮「僕らの社会主義」(ちくま新書)《期待度:B》
共産党がじわじわと支持を伸ばし、とうとう社会主義本が出てきたなあと。(久しぶりの書店なので、もっと前から出てたのかもしれませんが。。。)
マルクス前の”あったかもしれない社会主義”というのを知りたくて。

斎藤孝『「言葉にできる人」の話し方』(小学館新書)《期待度:B−》
こういうのも大事だなあと思って買っちゃうのは、日々の生活に追われているからでしょうか。。。

東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(角川文庫)《期待度:B+》
たまには気軽に読みたいなあと思って買っちゃうのは、日々の生活に(以下省略)。でも東野圭吾はかなり好きです。




《雑誌》


〇三戸(7/5)
・『文藝芸人』文春ムック 《評価:A》
ひょっとしたら、買ったときに紹介しているかもしれないが、読んでみてぜひ進めたくなったので…。
社会的評価が低く、知性や芸術とは縁遠い「芸能」の中でも地位が低かった「芸人」たちの「芸術性」「知性」を垣間見ることができる。歴史的一冊ではないか?
又吉が直木賞を受賞したことにより、ダウンタウン松本の「論説」があらためて認識されたのではないか?
忙しく、また書くことに習熟しているとは思われない芸人たちの文章が、
どれも一定以上の水準にある。手が入っていないとしたら、「スゴイ!」
6人が小説を書いているが、小説家は形無しだな。
キンコン西野の「『えんとつ町のプペル』の作り方と届け方」はこれだけで、740円の内の500円以上分はあるんじゃないか?
「届け方」に着目してほしい。竹田君をはじめビジネスに関わっているみんなに役立つと思う。

〇三戸(7/06)
別冊NHK100分de名著『「日本人」とは何者か?』《期待度;A》
目次を見れば、買わずにはいられないと思うよ。
第1章 「日本人の美意識」 九鬼周造『「いき」の構造』/松岡正剛
第2章 「日本人の感受性」 折口信夫『死者の書』/赤坂真理
第3章 「日本人の心理」  河合隼雄『中空構造日本の深層』/斎藤 環
第4章 「日本人の宗教観」 鈴木大拙『日本的霊性』/中沢新一

テーマがいいだろう?
日ごろ考えもしていないが、こうして出されてみると、大切だと思い、知りたくなる。
テキストもいいのじゃないか?
聞いたことはあっても、読んだことはない。
一人で、全部読む気にはなれない。
関心あるテーマから解説されていれば、わかりやすい。
フ−ン、こういうメンバーが解説するんだ?
このテーマでは、この面子がベスト・メンバーか?
誰の解説が、わかりやすく、面白いだろうか?

どうだ?期待度が「A」であるのも納得するだろ?
満足感はまた別だぜ。


〇竹田 21期(7/12)
三戸先生
>『文藝芸人』文春ムック ご紹介ありがとうございます。

少し読みましたが、これほど笑える活字を読んだのは、ここ数年、いや、数十年無いかもしれません。

西野さんの「届け方」は学ぶところが大いにありますが、まだ血肉として消化できておりません。
こちらも少しずつ実践しながら学んでいきます。


【book2017.7】

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