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『題詠』短歌投稿掲示板

題詠専用の短歌投稿掲示板です。
お題は毎週月曜日午前0:00頃この掲示板で発表いたします。
管理人:黒路よしひろ

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[799] 題名:題名「休む」名前 さくら 名前:さくら 投稿日: 2024/05/11(土) 17:34

春の月淡く照らしてマンションの小さな池にしばし休みぬ

ささくれし朝のこころを休めむか淡くかがやく宵の明星

天道虫ゆきつもどりつうたた寝のねぐらもとめてわが枕辺に

はるばると番いの揚羽 九階に舞てさりゆく初夏の空


[798] 題名:『休む』 名前:六九郎 投稿日: 2024/05/11(土) 15:42

学校もズル休みせよ啄木忌友に金借り女を買いに

体から何か一本心棒を抜かれたようで休んでばかり

戦地には土日はなくて毎日が砲弾の雨命は軽く

休戦の交渉すらせぬ指導者は土日は家で家族と過ごし

立ち止まり自分と対峙することを避けたいがため休みは取らず


[797] 題名:講評ありがとうございます! 名前:六九郎 投稿日: 2024/05/07(火) 00:00

黒路よしひろ様
お仕事や勉強などお忙しい中、講評ありがとうございます!

>でかい顔まさか自分がしっぽとは切られるまでは気付かずにおり
→でかい顔まさかな自分がしっぽとは切られるまでは気付かずにおり

『もう一歩先に行く』
『普通に考えて「まさか自分が」と定型にするだろうところを“あえて外す”』

今のところ私にはこの発想はできません…。いつかはそんな遊び心を持てるようになりたいと思います!

>日を浴びてじっと身体を温める寒い冬の日トカゲの横で
→日を浴びて身体の芯を温める寒い冬の日トカゲの横で

『「じっと」の表現部分は少し平板すぎる』
これは、よく分かります。「じっと」の語感も客観的に読むと良くないですね…。

>手も足も捨てて我らは我道へ ヘビの信念われは畏れる
→手も足も捨てて我らは蛇の道へ ヘビの信念われは畏れる

『「我ら」「我道」「われは」と「我」が三度も出てくるのはちょっとくどい』
確かに…。しかも「蛇の道」という造語が味わいを増すように感じました。

>巳(ミ)は上に已(スデ)はなかばに言うけれど己(オノレ)は見えず眼鏡かけても
→巳(ミ)は上に已(スデ)はなかばにと言うけれど己(オノレ)は見えず眼鏡かけても

『歌の「調べ(リズム)」にも余裕が生まれて、少し硬い内容にほど良い“緩み”が生まれる』
以前にも似た指摘を受けましたが、なかなかルールを逸脱する余裕と勇気を持てないでおります。今後精進を重ねたいと思います。並べて読んでみると、元はたしかに性急で強引な感じがしますね…。


愚作を読んでいただいた上に長文の講評まで書いて頂き、本当に励みになります。今後もご指導よろしくお願いします!


[796] 題名:六九郎さん、こんばんは〜〜(^・^) 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/29(月) 21:38

いや〜〜、いよいよ世間ではゴールデンウィークに突入ですね^^
まあ、今年は間に平日を挟む日が多いので、お得感の薄い大型連休かも知れませんが。
ちなみに、僕も連休中にパートの警備員さんの病欠の穴埋めで施設警備の夜勤に入ったりはしますが、別の平日に振り休を取れるので久し振りにゆっくりと休暇が取れそうです。
まあ、休暇中も資格試験の勉強などやらなければいけないことは山積みですが。

さてさて、そんな連休前半の夜に、今夜もまたこちらのみなさんの歌に感想など書かせてもらって、荒んだこころに歌の栄養を与えたく思います。

>でかい顔まさか自分がしっぽとは切られるまでは気付かずにおり

うんうん、六九郎さんのこの歌も、組織の中の人間をトカゲの尻尾に喩えて世の中の無情を詠んだ、深い魅力の一首ですよね。

まさに、会社組織あるある。
あるいは最近話題の、どこどの議員さんなどでもそうでしょうか。
顔だと思っていたものが尻尾だったという皮肉も面白い構成ですね。

僕も最近は会社組織にどっぷりと浸かっていますが、地位や肩書きなどを得ても勘違いだけはしないようにしたいものです。
ほんとに、組織の中核だと思って大きな顔をしていたら、突然切られるなんてことも当たり前のようにあるのが現実ですから。

そうですね、そんな“勘違い”をしてしまいやすい愚かな人間たちへの戒めのようにも読めてユーモアの中に深い魅力を感じる一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
人事異動の四月。
浮かれるものも居れば肩を落とすものも居る。
切られてなお足掻くしっぽの姿もまた、あちこちで見られる〈切ない季節〉でもあります。

その上で、あえて言うのなら歌の基本としてはこれでいいと思うのですが、もう一歩先に行くのならあえて定型を外して…

でかい顔まさかな自分がしっぽとは切られるまでは気付かずにおり

うん、二句目をこんな感じで「まさかな」として一文字加えてみるのも歌に味が出ていいのかも^^
普通に考えて「まさか自分が」と定型にするだろうところを“あえて外す”ことで、そこに作者の意図が表れて歌に作者の存在がぐっと立ち上がってくるようにも思いますので。

でもほんと、表面に出てくる歌意だけでない深さが幾重にも感じられる魅力の一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>日を浴びてじっと身体を温める寒い冬の日トカゲの横で

こちらの歌も、冬の日差しに身体を晒して温めるトカゲの姿を通して、作者自身の存在を歌に主張する深い魅力の感じられる一首ですよね。

トカゲの横に居るのは、普通に読めば作者自身ですがトカゲとのサイズ感からその存在の大きさがバグって感じ取れる面白さも素敵です。

あるいはトカゲなどの小動物に自身の姿を重ねてみただけとの見方も出来ますが、それよりもさらに対象に対してこころが“寄り添って”いるような切ない優しさを感じます。

そうですね、そんな小さな命に寄り添うようなこころが感じ取れる一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
トカゲもひとも、誰もが冷えたこころと身体を温めたい、そんな〈冬の日〉があります。

ただまあ、あえて言うのなら「じっと」の表現部分は少し平板すぎるように感じるので…

日を浴びて身体の芯を温める寒い冬の日トカゲの横で

うん、たとえばこんな感じとかで、もう少し表現に“一捻り”あるといいのかも^^
でもほんと、読んでいると日向ぼっこしたくなるような、そんなこころ温まる一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>手も足も捨てて進化の潔さ ヘビはトカゲに別れを告げる

うんうん、こちらの歌も、手足を捨てたヘビの進化の歴史を背景に、人間の価値感で「潔さ」を詠ったほんとに面白い構成が魅力の一首ですよね。

単に潔さではなく、「進化の潔さ」と読むことで詩情が増した表現になっているようにも感じます。

そうですね、そんな一個体では辿りつけない長い進化の歴史の末に手足を捨てたヘビへの畏敬の念が感じられて深い魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
人生にも、捨てることでしか進めない〈道〉があるものです。

過去形で「別れを告げた」ではなく「別れを告げる」としたところも、その瞬間に立ち会っているかのような進化の壮大な臨場感が感じ取れて秀逸ですね。
未練ばかりの人生を送ってきた僕には、とうてい辿りつけないヘビたちの“進化の潔さ”です。



>手も足も捨てて我らは我道へ ヘビの信念われは畏れる

こちらの歌も、進化の過程で手足を捨てたヘビを詠って、その進化に“意志”を持たせた感性が魅力の、深い内容の一首ですよね。
僕もヘビは苦手ですが、人間がヘビを怖がる理由のように詠われた上の句に、不思議な説得力を感じます。

そうですね、そんな生き延びるためのに手足を捨てるような”信念”が敬いのような畏れとなって迫ってくる一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
どんな小さな命であれ、命を賭けた信念とは〈畏れ〉を纏うものなのです。

ただまあ、「我ら」「我道」「われは」と「我」が三度も出てくるのはちょっとくどいかなという気もしないではないので…

手も足も捨てて我らは蛇の道へ ヘビの信念われは畏れる

うん、こんな感じで「蛇(じゃ)の道」としてみても面白さがと高潔さが同時に出ていいような気も^^
まあ、ここはあえて「我」の繰り返しで韻を選んだのかも知れませんが。

でもほんと、僕がヘビを怖れる理由もなんとなくわかった気になるような、面白い魅力の一首ですね(笑)



>今日もまたVサインして写真撮る首に乗せられ締めたろうかな

こちらは海外の観光地などで大きな蛇を首に乗せて記念写真するサービスを詠ったものでしょうか。
蛇の気持ちを代弁した口語調の結句が活きたほんとに面白い魅力の一首のように思います。

上の句はもちろん人間たちですが、そこからその人間の首に乗せられたヘビの独白へと移行していく歌の“捻れ”も面白いですよね。

そうですね、そんな構成の巧みさが見事な魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
生き物を見せ物にしてしまう人間の〈驕り〉への警告でしょうか。

それ以前に、僕などは蛇の気持ちを“察して”しまって、怖くてとても首に乗せるなんてことが出来ませんが…



>今日もまた笛に合わせてくねくねと小遣い稼ぎ噛んだろうかな

こちらの歌も、先の歌に引き続いてインド?の蛇使いの蛇の気持ちを代弁して詠った、ユーモアな感性が魅力のほんとに素敵な内容の一首ですよね。

先の歌では上の句は人間のほうでしたが、こちらは最初から蛇(コブラ?)が主体となっているところに面白い変化を感じます。
また、上の句まではよくある蛇使いに操られる蛇の姿と光景をそのまま表現しただけですが、結句の“個性”で一首が一気に輝いてくる〈言葉の力〉を感じます。
とくに「小遣い稼ぎ」の擬人化が秀逸ですね。

そうですね、そんなちょっと毒っけ(毒蛇だけに・笑)のある内容の魅力的な一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。

あるいは労働者の姿にも重なって見えて、誰もが「噛んだろうかな」と毒づきたくなる思いを、グッとこらえて生きているこの世界です。



>巳(ミ)は上に已(スデ)はなかばに言うけれど己(オノレ)は見えず眼鏡かけても

うんうん、こちらの歌も、漢字の構成を通して自分自身のこころと向き合う作者の姿が詠われた、深い魅力の一首ですよね。
ルビにカタカナ表記を使う斬新さも面白いです。

たしかに、「巳」の縦棒は上までつながって、「已」は半ばまで。
そして「己」は縦棒がないのですよね。
このあたりは、僕はあまり普段使わない漢字なので、スマホや辞書などで調べないと書けない漢字ばかりです。

そうですね、そんな一見文字遊びのような軽さの中に哲学めいた“深さ”が感じとれる面白い魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
われわれ凡人には、己を見ることも知ることも〈至難の業〉なのです。

ただまあ、二句目の助詞の省略はちょっと無理をしているぎこちなさが出てしまっているので…

巳(ミ)は上に已(スデ)はなかばにと言うけれど己(オノレ)は見えず眼鏡かけても

うん、ここは字余りになっても「と」を入れておいたほうがいいかも^^
こうあうることで、歌の「調べ(リズム)」にも余裕が生まれて、少し硬い内容にほど良い“緩み”が生まれるようにも思いますので。

でもほんと、カタカナ表記のルビを入れることでパーレンの新しい使い方が生まれたような面白さも感じますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>龍(タツ)というスーパースターのその後にどんな顔して出ればよいやら

こちらの一首も干支を擬人化して詠って、その卑屈さが面白い魅力となっている一首ですよね。

意識したことはなかったですが、たしかに「龍(タツ)」のあとが「巳(ヘビ)」と言うのはちょっと残酷な順序かも知れませんね。
よく似た姿をしているのにサイズ感も能力も迫力もまるで違う龍と蛇。
なんだか「巳」に親近感を憶えて愛おしく感じられてしまう一首です。

「龍さん」というスーパースターの人間をも頭に浮かんでくる構成にしているのも面白い仕掛けです。

でもきっと、こんな経験て人生で何度かあるものですよね。
スーパースターも居れば、平凡な凡人も居る。
そしてスーパースターだからと言って必ずしも幸せなわけでもなければ、凡人である人が誰かにとっての世界で一番「大切な人」であることもある。
だから、巳さんには胸を張って堂々と舞台に上がって欲しく思います^^

ではでは、朝晩の気温差が大きい時期ですが、六九郎さんも体調管理にはくれぐれも気をつけて、素敵な連休をお過ごしくださいね〜〜
今夜もこの辺で♪


[795] 題名:★前回の投稿作品★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/29(月) 00:01

前回のお題『春爛漫』に、みなさまから投稿していただいた作品です。
Yahoo!トピック終了にともない、これからはこちらで投稿作品の発表をさせていただきますね。

★前回の投稿作品★
お題『別れる』(敬称略)


さくら

「またあした」指切りしたるあきちゃんは逝ってしまって六歳の春

わが肩を羽交い絞めせしその腕をそっとゆるめて母逝きたもふ

このまんま別れとならむ君が手もやがて冷たく神のまにまに

老いゆけば別れの多き人の世もやがてゆきつく何もない島

父母の野辺の送りの畦道は天につらなる蓮華の浄土

-------------------------------------
六九郎

コップ酒サヨナラだけが人生だ呟く男酔いはまわりき

お別れは突然やって来てすぐに済んでしまった きみの歌声

「別れましょ」女の口が動くときその本体はそこにはいない

英単語頭と体泣き別れつなぐハイフン伸びた内蔵

あたたかき羊水の海別れ告げまろび出たり寒き世界へ

-------------------------------------
夕夏

わかれとかでなくそえんであわぬままだけどあいたいきもちがいまも

-------------------------------------


[794] 題名:★お題は『休む』★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/29(月) 00:00

★今回のお題は『休む』、期限は五月十二日(日)です★

「休暇」「小休止」など、休むという言葉から連想するものなら何でもけっこうです。
お題の言葉を含んでいなくても構いません。

題詠の期間は一つのお題につき二週間です。
みなさんが気持ちよく参加できるよう、どうぞ、ご協力のほどをよろしくお願いしますねm(_ _)m

PS.今回はお題、四巡目です(^・^)


[793] 題名:お題(別れ) 名前:夕夏 投稿日: 2024/04/28(日) 20:50

わかれとかでなくそえんであわぬままだけどあいたいきもちがいまも


[792] 題名:「別れる」 名前:六九郎 投稿日: 2024/04/28(日) 10:29

コップ酒サヨナラだけが人生だ呟く男酔いはまわりき

お別れは突然やって来てすぐに済んでしまった きみの歌声

「別れましょ」女の口が動くときその本体はそこにはいない

英単語頭と体泣き別れつなぐハイフン伸びた内蔵

あたたかき羊水の海別れ告げまろび出たり寒き世界へ


[791] 題名:題名「別れる」名前 さくら 名前:さくら 投稿日: 2024/04/27(土) 17:36

「またあした」指切りしたるあきちゃんは逝ってしまって六歳の春

わが肩を羽交い絞めせしその腕をそっとゆるめて母逝きたもふ

このまんま別れとならむ君が手もやがて冷たく神のまにまに

老いゆけば別れの多き人の世もやがてゆきつく何もない島

父母の野辺の送りの畦道は天につらなる蓮華の浄土


[790] 題名:黒路さま ありがとうございました。 名前:さくら 投稿日: 2024/04/22(月) 09:48

黒路さん、おはようございます。
沢山のご感想、添削をありがとうございました。

春になって、すこし浮かれ気味な歌になってしまいました。

仰るようにもう少し引き締まった、詩的な表現が欲しかったですね。
 〇 そして堕ち逝くブラックホール(はっとする表現でした。

 〇 動詞の連用形で躍動感を

私の歌は、分かりやすい言葉が多く、確かに軽い感じになっています。
 〇 舞→舞い

動詞の連用形で躍動感を。
 〇 日がな一日半眼の→ひねもす池に半眼の→

温かいご指摘ありがとうございました。
大変、参考になりました。

毎日 狂ったような陽気が続いていますね。
めずらしく病院通いの日が続いてしまいました。
黒路さん、どうぞ美しい春の日をお過ごしくださいね。
ありがとうございました。


[789] 題名:さくらさん、こんばんは〜〜(^・^) 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/16(火) 22:15

いや〜〜、今年の桜は咲くのが遅かった為か、散るのはあっという間でしたね^^
こちらでは、ソメイヨシノももうすっかりと葉桜になりました。
まあ、桜が終わっても、これからの季節はさまざまな花が咲いて、季節を彩ってくれますが。

さてさて、そんな少しずつ移ろっていく季節を眺めながら、今夜もまたこちらのみなさんの歌を通して人生の豊かさを感じたく思います。

>子を背負い日がな一にち半眼の親亀われを一顧だにせず

うんうん、さくらさんのこの歌も、池に甲羅干しする亀たちの姿を詠って、長閑な季節感が感じ取れるほんとに素敵な魅力の一首ですよね。

初句を読んだとき、最初作者が子を背負っている姿が目に浮かびましたが、あるいは作者もこの親子亀に過去に子供を背負った日々の自身の姿を重ねて見たのかも。

まあ、亀は卵を生むは虫類なので、実際には背負っているのは子供ではなく赤の他人(他亀?)ですが、子亀親亀という歌としての〈見立て〉が一首を面白くする要素として活かされている部分も注目すべき点ですね。

そうですね、そんな日がな一日甲羅干ししている親亀子亀の姿が長閑な季節感を伴って詠われている魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
亀にとってまさに“眼中にない”相手として詠われることで、逆に歌にくっきりと浮かび上がる作者の〈存在〉。

ただまあ、結句に対して上の句の表現にももう少し詩的なものがあって欲しいような気はするので…

子を背負いひねもす池に半眼の親亀われを一顧だにせず

うん、ここはたとえばこんな感じとかでまとめてみるのもひとつの手かも知れませんね^^
こうすることで、さらにゆったりとした“時間”が表出されるようにも思いますので。

でもほんと、亀たちと向き合う作者のこころも感じ取れる魅力の一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>夢見しは青き地球の野っぱらに花を咥えた恐竜の舞

こちらの歌も、花を咥えた恐竜と野っぱらという少し狂気じみた組み合わせがほんとに面白い魅力の、素敵な雰囲気の一首ですよね。
恐竜のいた中生代にはいわゆる「草」は登場していなかったので野原もなかったはずですが、それ故に現実から離れた「夢」としての“飛躍”が強調されて歌を彩ります。

そうですね、そんな作者の意外な一面として現れ出た不思議な魅力が感じられる一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
色とりどりの春の光景の中で、場違いな恐竜がそれゆえに〈存在感〉を主張する衝突の美。

ただまあ、「恐竜の舞」として締めてしまうと歌にゆとりがなくなって窮屈な感じがしてしまうので…

夢見しは青き地球の野っぱらに花を咥えた恐竜の舞い

うん、ここはたとえばこんな感じで動詞の連用形として躍動感を出してみてもいいのかも知れませんね^^
こうすることで、恐竜の舞がよりいっそう活き活きと表現されるように思いますので。

でもほんと、お花畑な春の気分が見せたような狂気の夢が詠われた不思議な魅力の一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>花に酔い恍惚とまう恐竜の舞うて堕ちゆくブラックホール

うんうん、こちらの歌も先の歌に引き続いて夢の中の、花に舞う恐竜の姿を詠って不思議さがさらに増した魅力の一首ですよね。
あるいは散りゆく桜の花が見せた幻影なのか酒の酔いなのか…
ブラックホールに吸い込まれるかのように落ちてゆく意識の比喩とも取れる“恐竜”が、どこかユーモラスに歌を彩ります。

そうですね、そんな春の狂気の光景を映し出した面白い魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
恐竜も虫もひとも、誰もが恍惚と酔い〈堕ちて〉ゆく“春の闇”です。

ただまあ、表記を変えたとはいえ「舞う」を二度使う必然性が薄いようには感じてしまうので…

花に酔い恍惚とまう恐竜のそして堕ちゆくブラックホール

うん、ここはたとえばこんな感じとかの接続詞を用いて、あえて意味をぼかしたまとめ方をしてみても歌に深みが出て面白いかも^^
こうすることで、小さな“歪み”も加わって、この歌の不思議さがさらに活かされるようにも思いますので。

でもほんと、花の幻影のような不思議な魅力を持った一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)



>「蛙めは眠りおるかな」またも聞くまっこと父は蛙がきらい

こちらの歌も、冬眠からまだ目覚めない蛙にこころを寄せる主体の父の姿を詠って、どこか不思議な世界が表現された面白い魅力の一首ですよね。

あまり意識して考えたことはなかったですが、日本の蛙は自然界では冬に冬眠するのですね。
冬の大地の下でたくさんの蛙たちが眠っていると考えると、たしかに少し気持ち悪いものを感じなくもないかも。

そうですね、そんな目に見えない場所で眠る蛙たちが脳裏に浮かんでくる面白い魅力の一首ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
そのもののことが頭から離れない「嫌い」という感情は、もはや「恋」に近いものなのかも。

「蛙めは眠りおるかな」との、口語としてはどこか大仰な言い回しも面白いですし、父が聞いてくる相手としての作者の“存在”も歌に浮かび上がってきます。
蛙に作者…父の問いの言葉を通して“存在”が立ち上がってくる〈者たち〉の、目覚めの春はもうすぐそこに来ています。



>目つむれば春近むらし蛇、蜥蜴 土やわらかに肺呼吸せむ

うんうん、こちらの歌も、先の歌の蛙とおなじく、土の下に眠る者たちの呼吸の音(あるいは肺の音)を感じ取った、ほんとに素敵な魅力の一首ですよね。

「春近む」は聞き慣れない表現ですが、「夏近む」などが俳句の季語としてあるようなので、それにちなんだ造語でしょうか。
歌の中で、程良い緊張感となって活きているように感じます。

そうですね、そんな土地の下に眠る者たちの肺呼吸の音を感じ取った感性が魅力的ですし、この歌についてもほんとにこのままで充分素敵に仕上がっていると思いますよ。
柔らかな土の下で、春を待つたくさんの〈肺〉が脈打っています。

ただまあ、わかりやすい言葉や文字で構成されると歌が軽くなり過ぎてしまうので…

目瞑れば春近むらし蛇、蜥蜴 土やわらかに肺呼吸せむ

うん、「蜥蜴」だけでなく「瞑る」も漢字表記にして歌にもう少し重みを加えてみてもいいのかも知れませんね^^
このあたりの“柔らかさ”と“重み”のバランスは難しいところかも知れませんが。
辞書がなければ読めない文字や書けない文字は、歌に入れると程良い重みや緊張感が出て一首を引き締めてくれます。

でもほんと、「春近む」の言葉の季節感と肺たちの静かな躍動が心地よい魅力の一首だと思いますので、これもひとつの参考までにと云うことで(笑)

ではでは、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですが、さくらさんもどうぞお身体に気をつけてお過ごし下さいね〜〜
今夜もこの辺で♪


[788] 題名:★前回の投稿作品★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/15(月) 00:01

前回のお題『春爛漫』に、みなさまから投稿していただいた作品です。
Yahoo!トピック終了にともない、これからはこちらで投稿作品の発表をさせていただきますね。

★前回の投稿作品★
お題『春爛漫』(敬称略)

夕夏

かみをすくほのかにかおるそよかぜがほほをなですぐここちよきはる

-------------------------------------
土州

電車から見渡す野辺はいにしえの奈良のみやこを埋めつくす

-------------------------------------
さくら

ゆれ動く黄色い帽子、ランドセル春爛漫の横断歩道

えにしだの重おも垂りて褥にも夢の中にも散らす黄の色

夕暮れにほのかに明かし山吹のいにしえ人の言問ふごとく

哀れかな昨夜の雨に散りゆきし白きさくらの側溝の中

-------------------------------------
六九郎

祝砲さ!涙鼻水まき散らせ!春が来たんだ!ティッシュの山さ!

春が来てしまった俺の嫌な春きみのいないつまらない春が

花は咲く人は浮かれる水ぬるむ季節は進むわれは進まず

咲き誇る桜並木をくぐり抜け登校の子ら飲み込む校舎

蛙たち春の麻酔をかがされて釜の温度はゆっくり上がり

パッと散る桜の花の潔さわれは延命治療をのぞむ

願わくばICUにて春死なん蛍光灯とアラームの音

-------------------------------------


[787] 題名:★お題は『別れる』★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/15(月) 00:00

★今回のお題は『別れる』、期限は新年四月二十八日(日)です★

「送別会」「離別」など、別れるという言葉から連想するものなら何でもけっこうです。
お題の言葉を含んでいなくても構いません。

題詠の期間は一つのお題につき二週間です。
みなさんが気持ちよく参加できるよう、どうぞ、ご協力のほどをよろしくお願いしますねm(_ _)m


[786] 題名:「春爛漫」 名前:六九郎 投稿日: 2024/04/13(土) 18:52

祝砲さ!涙鼻水まき散らせ!春が来たんだ!ティッシュの山さ!

春が来てしまった俺の嫌な春きみのいないつまらない春が

花は咲く人は浮かれる水ぬるむ季節は進むわれは進まず

咲き誇る桜並木をくぐり抜け登校の子ら飲み込む校舎

蛙たち春の麻酔をかがされて釜の温度はゆっくり上がり

パッと散る桜の花の潔さわれは延命治療をのぞむ

願わくばICUにて春死なん蛍光灯とアラームの音


[785] 題名: 題名 春爛漫 名前 さくら 名前:さくら 投稿日: 2024/04/13(土) 10:29

ゆれ動く黄色い帽子、ランドセル春爛漫の横断歩道

えにしだの重おも垂りて褥にも夢の中にも散らす黄の色

夕暮れにほのかに明かし山吹のいにしえ人の言問ふごとく

哀れかな昨夜の雨に散りゆきし白きさくらの側溝の中


[784] 題名:お題『春爛漫』 名前:土州 投稿日: 2024/04/08(月) 18:01

 電車から見渡す野辺はいにしえの奈良のみやこを埋めつくす


[783] 題名:春風 名前:夕夏 投稿日: 2024/04/06(土) 04:23

かみをすくほのかにかおるそよかぜがほほをなですぐここちよきはる


[782] 題名:黒路様 名前:土州 投稿日: 2024/04/01(月) 17:12

 添削ありがとうございます。春の風の歌は、本当に、志貴皇子の歌をイメージしながら詠んだので黒道さんに感想をいただいてびっくりしたところです。あとは袖が濡れているのは涙のせいで、それも現代人は簡単に流していけるのかもということを込めました。でも、本当に驚きましたし嬉しかったです。
 文字表記については、黒路さんの添削どおりでお願いします。現代短歌は文字短歌として、しらべ的なものを表現するためにも文字にデリケートになっているということでしょうか?勉強になりました。ありがとうございます。


[781] 題名:★前回の投稿作品★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/01(月) 00:01

前回のお題『妖怪』に、みなさまから投稿していただいた作品です。
Yahoo!トピック終了にともない、これからはこちらで投稿作品の発表をさせていただきますね。

★前回の投稿作品★
お題『妖怪』(敬称略)

夕夏

せいじかがようかいしてるせいかいはへいせいすぎてれいわおそろし
政治家が溶解(妖怪)してる政界はへいせい(平成、平静)すぎて令和恐ろし

-------------------------------------
土州

僕のキャパ知らない君の吐く息で埋め尽くされた塗り壁の胸

-------------------------------------
さくら

妖怪に変身せむと水槽のおたまじゃくしの手ぶり足ぶり

もうひとり誑かさむか昼ひなか山車の狐の口が裂けゆく

面妖な水木しげるノ妖怪は調布の街にひそと棲みおる

龍之介ノ若き河童の流し目にさくらはらはら風に散りゆく

お迎えにきたのだろうか門口に鱗の光るアマビエの跡

-------------------------------------
六九郎

妖怪は江戸の昔を懐かしむ遊び心と百物語

あかあかと電気が照らす物陰に妖怪たちが身を寄せており

日本中白々照らすLED物の怪どもの住処うばえり

学校も試験も何にもないと言う歌聴きながら試験勉強

囚われてお話し好きの龍ちゃんは河童の国よりついぞ戻らず

-------------------------------------


[780] 題名:★お題は『春爛漫』★ 名前:黒路よしひろ 投稿日: 2024/04/01(月) 00:00

★今回のお題は『春爛漫(はるらんまん)』、期限は新年四月十四日(日)です★

「桜吹雪」「萌ゆる草花」など、春爛漫という言葉から連想するものなら何でもけっこうです。
お題の言葉を含んでいなくても構いません。

題詠の期間は一つのお題につき二週間です。
みなさんが気持ちよく参加できるよう、どうぞ、ご協力のほどをよろしくお願いしますねm(_ _)m




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