No.2951 里芋の葉の露 投稿者:木器 投稿日:2025年09月01日 (月) 16時59分 [ 返信] |
暑い暑いと言っているうちに8月が終わり、ついに9月に入ってしまいました。「夏の思い出」というとすぐ、江間章子作詞、中田喜直作曲の名曲が出てきてしまうのですが、それ以外にも、とくに少年時代の夏の日々を思うと、いろいろな絵や音や動画が脳裏をよぎります。
その中できょうの新聞歌壇で思い出した「里芋の葉の露」は、私もいまだに印象が鮮明です。が、実物はもう何十年も見ていないなー。
*里芋の葉よりころがり落つる露水銀のごとき光を放つ(野田市 青木作郎。小池光選) 【評】水銀のような露の玉。この比喩がすべての歌で、とてもよい。里芋の大きな葉にたまる露のしずく。きらきらころがり回ってふしぎな物体のよう。簡素で鮮明な自然詠。
たしかに水銀の玉の比喩には、私も実感があります。しかしその水銀の玉を、いったいどこで見たのでしょうね。 この金属でありながら液体という奇妙な物体は、そうそうめったに見られるものではないと思うのですが、これも怖いような緊張感でじつに鮮明にその玉のころがるさまを覚えています。 理科室で見たのか、もしかして家の温度計が割れて、中の水銀がこぼれたことがあったのか。
七夕の朝早く、容れ物を持って里芋畑に行くと、葉の上にみごとな露の玉があちこちにできていて、ちょっとでも不用意に触ると転がり落ちてしまいます。 慎重に葉を傾けて、その水銀の玉のような露の玉を容れ物にとり、その露で墨をすって短冊に願いごとを書く、この懐かしい行事は、今も子どもたちに受け継がれているでしょうか。
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