No.280 「に」か「を」か 投稿者:木器 投稿日:2022年05月06日 (金) 02時48分 [ 返信] |
まもなく発売(5月下旬)になる半藤一利著『父から子に伝えたい戦争の歴史』(ソフトバンク=SB新書)は、亡くなった半藤氏の全著書から、氏のもっとも訴えたかったこの書名のテーマを抽出した見事な一冊です。私はすこしお手伝いしただけですが、それでも数十冊の氏の著書を読む機会に恵まれました。 以前、東京・経堂に住んでいたときのかかりつけ医師が、半藤さんの甥御さんでしたので、いずれ報告したいと思っています。
数えきれない名言の中で、とくに印象に残るのが、「歴史に学ぶまえに、歴史を学べ」という主張で、まさにAAさんご指摘の格助詞「に」と「を」の違いを如実に示すものです。 世の中にはしたり顔をして「歴史に学べ」という人がいますが、「歴史に学ぶ」ためにはまず歴史を知らなければなりません。歴史「を」学ばずして、歴史「に」学ぶことはできないのです。
今、全世界を覆い始めている「戦争」についても、安易に過去の戦争に学べというまえに、まずはもっともっと戦争を学ぶ、戦争の実相・実体・現実を学ばなくてはならないということになるでしょうか。
それにしてももどかしくてなりません。世界にはノーベル賞級の叡智がたくさん存在するはずなのに、どうしてその叡智が、戦争の悲劇からの脱出のために集結しないのでしょうか。 何「を」学ぶにしても時間がかかります。無辜の民が殺され続けているのです。猶予はなりません。すでに世の普通人とはけた違いに多く「を」学んでいるはずの人びとが、問題の解決のために無力であるはずがないと思うのですが……。
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