No.2278 藤沢周平作品の映画化ハテナ 17 投稿者: 木器 投稿日:2024年11月29日 (金) 13時36分 [ 返信] |
(中略) その気持ちを伝えると、 『遠藤さん、だって原作通りですから』 と小滝氏は笑って答えてくださいました。しかし私は、それを実現することが一番難しくどれだけ大変か感じていましたので、父の原作を本当に大切にして頂いたと感謝の気持でいっぱいになりました。最初の約束を最後まで守って下さった小滝氏、そしてこの映画に関わって下さった全ての人に頭が下がる思いでした。 小説「山桜」の一節にこんな文章があります。 『とり返しのつかない回り道をしたことが、はっきりとわかっていた。ここが私の来る家だったのだ。この家が、そうだったのだ。なぜもっと早く気づかなかったのだろう』 映画『山桜』は来るべき家にたどり着いたのだ、そう感じずにはいられませんでした」
ここにこの映画製作のすべてが現れていると思う。 そして現実に公開時になって、私はこりもせず、今度こそ本当にすばらしい藤沢映画を一刻も早く見たいと、二〇〇八年五月からの全国公開に先立ち、藤沢氏の故郷・山形での先行上映を追って、四月二十六日、鶴岡市郊外の三川町にある「イオンシネマ三川」にかけつけた。
その日はちょうど、まえにも書いた三川町の青陽院というお寺の住職で、横浜の桐蔭学園の幹部を務める知人との仕事もあり、一泊で山形に行くことになっていたが、どちらが主かわからなくなっていた。
そして見た結論は、やっと、やっとたどり着いた感じがした。 遠藤さんではないが、本来のものにたどり着いた、これだったのだという、しみじみとした満足感に浸ることができた。
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