No.390 ついでに 投稿者:木器 投稿日:2022年06月06日 (月) 13時28分 [ 返信] |
志賀先生は87歳にして、現役の医師兼作家です。毎日ブログをエネルギッシュに更新されていますが、その中の一回分を紹介しました。 先日、小さな雑誌の依頼で先生のことを書かせていただいたのですが、その中から改めて少し補足させていただきます。
医学博士・志賀貢先生は、現在87歳にして現役バリバリの臨床医。しかも、すでに数十冊に及ぶ医療小説も書かれている医師作家でもあります。最初にお会いしたとき先生は40代半ばでしたから、もう40年以上のお付き合いです。
医師で作家という例は、古くは森鷗外や齊藤茂吉、最近でも茂吉の息子の北杜夫、なだいなだ、渡辺淳一や海堂尊など、枚挙にいとまありません。これは医師という仕事が、人間や人生の深部を知ることにつながるのと無関係ではないでしょう。
とくに志賀先生のように、このお年になりながら連日、院長室に泊まり込んで、患者と向き合う現代の〝赤ひげ〟のような医師にとっては、医学と同時に必要なのが人間学なのです。 先生の小説の一冊『体外受精』(祥伝社文庫)の中に、こんな言葉が出てきます。
「とくに臨床医学には、病める患者と一対一で接するという人間学の要素が大きい。人間愛というか、臨床ではまず学問の前に、人を愛するという心が要求される」
以前、取り上げた無医村の医師・将基面誠先生は、赴任候補地になった村の村長からこう言われました。
「優秀な医者はたくさんいるでしょうが、患者は診るけれど人間を診ていない。先生には人間を見てもらい、人間を生かしていただきたい」
この二つの言葉は、まったく同じことを言っています。この観点から志賀先生の〝二足のわらじ〟を見ていくと、「なるほど」と思わせられることばかりです。
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