2月14日の読売新聞夕刊「よみうり寸評」に、すごく気になる記事が出ていました。
写真を載せますのでちょっと見ていただきたいのですが、かねてから尊敬する作家・吉村昭さんの小説『羆嵐(くまあらし)』についてです。
吉村さんとは面識はありませんが、かつて岩手県田野畑村を舞台にした『無医村に花は微笑む』(将基面誠著)という本の編集を担当したとき、同村と縁のある吉村さんに序文をいただくなどお世話になって以来、荒川区にある吉村昭記念文学館とのお付き合いもできて、たびたびその重厚な作風に深い感銘を受けてきました。
今度のこの作品についても、不勉強で知らなかったのですが、大正時代の事実に基づく小説ということで、急に読みたくなって一気に読んでしまいました。もう息もつかせぬ緊迫感で、途中、昼飯だけは食べましたが終わりまで脇目もふらずでした。
おまけに、この作品を原作にしたドラマもあって、それがたまたま YouTube で全編見られたので、それも含めてこの問いかけるところ多々ある吉村ワールドに浸ってしまいました。
本はすぐ読めないとしても、YouTube はすぐ見られますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/ZpC4u... 木曜ゴールデンドラマ『恐怖!パニック!!人喰熊 史上最大の惨劇 羆嵐』(1980年11月27日放送、読売テレビ・東映、監督:降旗康男)1時間36分。
そして、ここに登場する孤独な一人の熊撃ちの男、山岡銀四郎のことをどう思ったかお聞きしたいのです。小説では後半に出てきますが、ドラマでは前半からむしろ彼が主人公として描かれます。
彼は、妻子に去られてから粗暴な振る舞いで周囲から疎んじられてきましたが、北海道の開拓村で6人もの村民(胎児を入れると7人)を食い殺した凶暴なヒグマを撃ってくれと頼まれます。
そして、銃を持って組織された警察隊ほか100人を超える討伐隊もお手上げだった熊退治を、一人でなし遂げてしまいます。
これだけだったら、まあ単なるヒーロー物語で終わったかもしれませんが、問題はその後の彼と周囲の人間との関係の変化です。
読売のコラムもそこに注目しています。
そこにトランプ氏を重ねるのまではどうかと思うのですが、まずはこの『羆嵐』における銀四郎の行動の謎をちょっと考えてみたいと思いました。

