No.2524 やはりこれだけは…… 投稿者: 木器 投稿日:2025年02月13日 (木) 13時35分 [ 返信] |
熊文さん、すごいです! お義父さんの貴重な履歴書があったなんて。ぜひ拝見できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
まえの投稿をした後、「この人に会った」の文章では収録できなかった堀越さんの「これだけは……」という苦衷の表現を、この際ご覧いただきたいと思いました。
雑誌に書いたように、もともと堀越さんはこの「神風特攻隊景仰頌詞」について触れることには、気が進まなかったのです。しかし私には、ほかの何にもまして当時の大変な精神状況を伝える貴重な文章だと思えました。
そこでもちろん全文ではなく、先生が訴えたい「この箇所」だけでも引用したらいかがでしょうと、ご提案したのでした。 著書からその前後だけ、引用させていただきます。
――私に手ばなしで特攻隊をたたえる文など書けるはずがなかった。なぜ日本は勝つ望みのない戦争に飛びこみ、なぜ零戦がこんな使い方をされなければならないのか、いつもそのことが心にひっかかっていた。もちろん、当時はそんなことを大っぴらに言えるような時代ではなかった。しかし、つぎのような一節だけでも強く訴えたかった。 「……敵は富強限りなく、わが生産力には限界あり。われは人智をつくして凡ゆる打算をなし、人的物的エネルギーの一滴に至るまで有効に戦力化すべき凡ゆる体制を整へ、これを実行しつくしたりや、内にこれを実行し、外神風特攻隊あらばわれ何ぞ恐れん。……」 私がこの言葉に秘めた気持ちは、ひじょうに複雑なものであった。その真意は、戦争のためとはいえ、ほんとうになすべきことをなしていれば、あるいは特攻隊というような非常な手段に訴えなくてもよかったのではないかという疑問だった。――
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