No.2327 農業立国の知恵ー2 投稿者:木器 投稿日:2024年12月13日 (金) 13時54分 [ 返信] |
小泉武夫先生の『酸っぱいは元気のもと』という本の狙いは、 「失敗を恐れず、酸っぱい発酵食品と農業で日本と自分を元気にしましょう」 ということでしたから、単に「元気」というより大きな目的がありました。
ま、個人的な心身の元気だけでなく、国やその国を根本で支える農業の元気を含みますから、この題名でもよかったのでしょうが、私個人としてはもともとのことわざに近い「酸っぱいは成功の母」のほうが……と思ったのでした。
そんな余談はさておき、小泉先生の最終的なモットーは、ズバリ「日本の生命維持産業は、日本流の六次化自給農業」というところにあります。
もちろん、とはいえ一気にそこまで行くわけにはいきませんので、まずはそれを担う人づくり、農の基本である土地づくりについて、いくつものすぐできるアイデアから実行していこうというのです。
たとえば、亡くなった俳優の菅原文太と組んで始めた農業塾というのもその一つでした。 小泉先生が、「農業の基本は土作り。大地の力を次の世代の種に残していくのが農業だ」と話すと、文太さんは、「人の暮らしも土にしっかり足をつけていないと、人間が弱々しくなる」と熱く語り、実際に山梨県の北杜市に作った農園からは、住み込みで2年間じっくり農業の厳しさ楽しさを学んだ、何人ものたくましい若者が育っていったといいます。 その農園でも、土地づくりを指導しながら先生が力説したのは、「日本農業が生きる道は付加価値の向上しかない」という持論でした。 工業製品でも何でも、付加価値を上げることで利益率が上がるのは、農業でも同じことです。 そして、収入が増えれば後継者ができ、お嫁さんも来て、子供の元気な声が響く町になるではないか、と先生は繰り返し言っています。
その具体的な実行として、若者がもっと土に触れ、食料を作る体験を増やすことが、当たり前のようでも農業の再生にはもっとも重要であるとして、そのための計画を進めました。(つづく)
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