No.2276 藤沢周平作品の映画化ハテナ 16 投稿者: 木器 投稿日:2024年11月29日 (金) 13時27分 [ 返信] |
(やっと『山桜』までたどり着きました。もうすこしだけ)
*原作映画化の奇跡的傑作『山桜』
このような欲求不満で悶々としていた私にとって、前二作とは対照的に原作のよさを一〇〇%、いや一二〇%も一三〇%も生かしたように見える映画がついに現れた。 篠田哲雄監督の『山桜』である。
『隠し剣 鬼の爪』と『武士の一分』で期待を裏切られた私は、いささか映画化自体に対して懐疑的になっていた。 だから次の藤沢作品の映画化といっても、あんまり期待を抱かないほうが、失望が少なくてすむと用心深くなってしまっていた。
ところが、今回の発表はちょっと趣が違っていた。 藤沢氏の長女・遠藤展子さんが、こんなコメントを発表していたからである。 これは公開まえからインターネットの公式サイトの中にある「藤沢周平の世界――山桜を語る」で読むことができ、また公開後のプログラムにも掲載されている。
「私達家族は父の作品を本当に大切にして下さる方にしか原作の提供は出来ないと考えていました。 しかし短篇小説一作品で原作に忠実な映画を創って頂くことは、実際にはとても難しいと、私達家族は感じていました。しかも、『山桜』は約二十ページの短篇です。映画にするには短い作品です。 映画化に際してプロデューサーの小滝氏は『原作が一番大事です。そうでなくては、原作のあるものを映画化する意味がない』と言って下さいました。 (中略) 実際に出来あがった映画は、まるで父の小説を読んでいるような錯覚を覚える映画でした。本のページをめくるように父の原作の映画を観たのは初めての経験でした。
|
|