No.2265 藤沢周平作品の映画化ハテナ 13 投稿者: 木器 投稿日:2024年11月28日 (木) 20時13分 [ 返信] |
いかがだろうか。この要約の中でも、もっとも感動的なのは最後のシーンであろう。本当によくできた筋書きだと思う。それにはどなたも異存はないだろう。
そして第二の感動ポイントは、暗黒に閉ざされた新之丞が、見えぬ目の絶望の中で、どうやって敵を倒すまでにいたる剣技を磨いたのかという点であろう。
さらに、今あげた二つとともに時系列は逆だが、第三のポイントは、新之丞が加世の不倫に気づく過程である。
まず、すこしわかりにくい加世の不倫に気づく過程だが、映画では以寧は従姉でなく叔母(桃井かおり)となっており、この叔母の口からはじめて知ることになっている。
ここで重要なのは失明からの時間経過である。 原作では一年半となっているから、その間、盲人として勘が研ぎ澄まされてきている新之丞が、妻の行状にまったく気づかないというのは不自然である。
常人でもそうだが、少なくとも新之丞は剣を極めた男である。相当まえからその気配に気づいていなければおかしい。またそれだからこそ煩悶も大きいはずである。
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