No.2255 藤沢周平作品の映画化ハテナ 10 投稿者:木器 投稿日:2024年11月26日 (火) 14時26分 [ 返信] |
もう原作がとにかくよくできた感動作だから、そのまま奇をてらわず映画化してくださいと、私は祈るような気持ちで封切りを待った。 そして結論を言えば、期待が大きかっただけに落胆も大きかった。
もちろん、主演の木村拓哉は健闘したし、妻役の壇れいも初々しかった。しかも原作がこれだけの名作である。どう撮っても最低限、感動作になることは間違いない。私も、映画館で感涙に咽んだことは確かである。
しかし、しかしである。山田洋次ともあろう映画名人が、この傑作小説を素材にしたなら、もっともっと決定的な大傑作映画ができてもおかしくないという、欲求不満が残ってしまったのである。
少なくともこの原作には、絶対外せない感動の勘どころ、言ってみれば劇作上これほどおいしいところはない、と言えるほどのツボがある。 それを山田監督はみごとに外してくれているのである。いくらなんでも「うっかり」ということはありえないだろうから、何らかの意図があったのではないかとも思う。
脚本段階で何度となくディスカッションもあるだろうし、書き直しもあるだろう。そうした一連の検討の中で、一度もこの問題が論じられなかったのだろうか。 まずは、原作の重要部分を含んだ筋書きを書いてみよう。
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