No.2254 藤沢周平作品の映画化ハテナ 9 投稿者:木器 投稿日:2024年11月26日 (火) 14時07分 [ 返信] |
こうした展開上の細かい違いは、ほとんど気にならないか、むしろ映画的な面白さになっていると思ったが、今回は正直言っていささか違和感が残る演出があった。
まず、『たそがれ清兵衛』ではさほど気にならなかった時代設定が、本作では非常に気になった。 時代不詳のものが少なくない藤沢作品の中にあって、とくに「隠し剣」シリーズは、いやしくも剣技が核になった侍の世界である。そこに幕末の時代設定をもってくるのは、あまり必然性がないのではないか。
幕末となれば当然、砲術訓練や洋式軍装、鉄砲などが出てくる。しかし、少なくとも剣の道での遺恨がからんだ狭間との対決を、原作どおり採用するなら、そこにいきなり鉄砲での援護というのは解せない。 時代の持つ理不尽さと解しても、この原作とはあまりにもかけ離れたテーマだと思うがいかがだろうか。 *『武士の一分』は原作のよさを一〇〇%生かせたか
つぎに、藤沢周平シリーズ三部作の最後『武士の一分』が製作発表されたとき、前二作と違って原作として使われる小説は一本、『盲目剣谺返し』だけということだった。
この原作には、ことのほか思い入れが強かった私は、前二作におけるいささかの不満を、今度こそ解消してくるのではないかと、大いに期待した。
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