No.2253 藤沢周平作品の映画化ハテナ 8 投稿者:木器 投稿日:2024年11月26日 (火) 10時10分 [ 返信] |
このストーリーの家族構成を映画では、本人と老いた母、まもなく嫁ぐ妹、そしてきえという四人にしている。 この中に、『雪明かり』のエピソードを注入し、映画ではきえが大店に嫁いで病気になり、それを宗蔵が背負って助け出す。
たしかにこのエピソードを生かすには、原作のようにきえと二人住まいではちょっと生々しすぎるだろう。しかしそれでも映画では、二人の仲を勘ぐる噂を避けて、きえを田舎へ帰してしまう。
狭間との関係も、原作では道場の先輩だが、映画では妹の夫となる島田左門とともに親しい友人であり、出世頭として江戸に上った。 そこで謀反の罪を犯し、国に送り帰され牢破りをしてしまう。原作とは牢破りは同じだが罪状が違うのと、原作では狭間が討手に宗蔵を指名するが、映画では宗蔵が藩命で討手になる。 剣の腕は、原作では宗蔵がやや上だが、映画では狭間のほうが上になっている。
狭間の妻のエピソードは原作そのままだが、誘惑された高ぶりをきえにぶつけるくだりは、映画ではすでにきえを実家に帰しているのでありえない。 すると当然、エンディングも違ってくる。
原作が、例の一夜の一件もあって、なし崩し的に夫婦になろうとする宗蔵が、許婚がいると言うきえに「いざとなれば、すでに夫婦のちぎりを…云々」と言うのに対し、映画では何と、蝦夷へ旅立つ宗蔵がきえを迎えに行く。 そしてきえが、実家に帰るときも言った「ご命令だば仕方ありましね」を合言葉のように言って、大団円となる。
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