No.2245 藤沢周平作品の映画化ハテナ 4 投稿者:木器 投稿日:2024年11月24日 (日) 21時56分 [ 返信] |
次の『竹光始末』は、これまでいろいろな事情で主家が消滅し、奉公先に恵まれない小黒丹十郎の家族が、一枚の周旋状を頼りに、海坂藩の柘植八郎左衛門を訪ねてくるところから始まる。しかし周旋状を書いたのは二十年前に二度あったきりの人物であり、しかも藩での採用はすでに終わっていた。
何か探してみようとの一言を頼りに、安宿で吉報を待ちつづける小黒だったが、宿代も払えない生活苦でついに刀も売り払ってしまった。やがて、仕事があるとの知らせに駆けつけると、仕事とは上意討ちだった。しかし、相手の余吾善右衛門の家に行ってみると、余吾はすっかり旅支度をして、逃がしてくれという。
斬れないと思った小黒は、気を許して思わず自分が竹光であることを打ち明けた。そのとたん、相手の目つきが変わり、いきなり斬りかかってきた。一瞬ののち倒れていたのは余吾のほうだった。小黒は戸田流小太刀の遣い手だったのである。武家というものの哀れさと仕官できるという安堵と、二つの感情に揺れ動く小黒の気持ちは複雑だった。
傍線部分をつなぎ合わせると、映画『たそがれ清兵衛』になる。これから本を読む人、読み直す人、これから映画を見る人、見直す人は、ここに注目すると本も映画ももっと楽しくなるだろう。
|
|