No.2244 藤沢周平作品の映画化ハテナ 3 投稿者:木器 投稿日:2024年11月24日 (日) 21時52分 [ 返信] |
次に『祝い人助八』も『たそがれ清兵衛』と同じ「あだ名」シリーズの一冊に収められた作品で、「祝い人」とは乞食のこと。藩主が突然、蔵の視察にやってきたとき、何度か異臭を感じた原因が、やもめ暮らしで着替えも入浴もろくにしていない伊部助八にあることに気づいて注意した。以来、彼はこのあだ名で呼ばれるようになった。
彼は、香取流の剣で一家を立てることを許された藤左衛門の息子だったが、実家との石高の違いを言い立てる妻の死で開放感を味わっていたことも事実だった。
そんなある日、彼の許を訪ねてきたのは、乱暴な夫から逃れて実家に帰っていた幼馴染の倫之丞の妹波津だった。深夜、波津を送っていった助八は、波津の元夫に果し合いを申し込まれて当惑する倫之丞を見て思わず身代わりを買って出た。棒一本で相手を昏倒させた助八に、倫之丞は波津との縁談を勧めるが、前の妻で懲りている彼は断った。
やがて助八に、藩主の怒りを買って家に閉じこもった男を、上意討ちにせよとの命令が下った。やむを得ず波津に着替えと髪結いを頼んだ助八は、ふと先の縁談を受けようという気になった。しかし、ときすでに遅く、波津はほかの縁談が決まっていた。 ところが、相手を降して帰宅した助八を待っていたのは、波津だったのである。
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