No.2242 藤沢周平作品の映画化ハテナ 2 投稿者:木器 投稿日:2024年11月24日 (日) 21時41分 [ 返信] |
題名は『たそがれ清兵衛』、藤沢作品の同名短編を中心に、やはり佳作短編『祝(ほ)い人(と)助八』『竹光始末』を取り入れたと報じられていた。結論から言えば、よくぞ異なる三作をここまで一体化したとしか言えない融合だった。
原作がどのように映画に取り入れられているかを見ると、下線の部分が該当する。 まず『たそがれ清兵衛』である。映画ではほかの藤沢作品のように、舞台を海坂藩としているが、この原作では明記されていない。しかし出てくる地名がたとえば「五間川」のようにほかの海坂作品と一致するので、海坂藩と見てもいいだろう。ただ映画では完全に庄内言葉が採用されているが、この作品ではそれがない。
藩の筆頭家老堀将監は、大凶作による藩の建て直しに、高利で有名な領内の能登屋万蔵という回漕問屋と話をつけ、その献金で懐を肥やしただけでなく、藩主にことの次第が漏れることを恐れ、藩主の弟を擁立するべく画策をはじめた。
会議を重ねた重臣たちは、堀の上意討ちを決意し、討手に選ばれたのが、「たそがれ清兵衛」と呼ばれる井口清兵衛だった。病弱な妻のために、夕方になるとさっさと帰ってしまうことでついたあだ名だが、じつは無形流の遣い手だった。彼は最初、命令を固持していたが、藩で一番の名医を世話しようという申し出にようやく頷いた。準備を整えて行われた重役会議、主張を曲げない堀を、風のように走り抜けた清兵衛の一刀が倒した。
それから数カ月後、名医の診断を受け、妻はようやく健康を取り戻しつつあった。
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