No.1970 絶滅危惧種の少女 投稿者:木器 投稿日:2024年07月15日 (月) 14時42分 [ 返信] |
今朝の新聞歌壇で、久しぶりに「そうそう!」と膝を打つ作品がいくつかありました。 まず一首。
*文庫本読みつつバスを待つ少女絶滅危倶種のように尊し(仙台市 小野寺寿子)
ですよねー、ほんと。しばらくお目にかかってないなー、このような少女。本当に絶滅危惧種ですが、こうしてまだ存在しているという証言があれば、ちょっと救われる感じがして、その少女の家庭や育ちの望ましい雰囲気さえ感じます。 この作者のように「尊し」とさえ思えてくるのも、宜なるかなです。
*大谷にさへ会はざれば水原も罪犯すことなかりしものを(神戸市 村上幸子) 【評】大谷選手と友人になることは、万人にとってこれ以上ない喜び。しかし、知り合ったばっかりに犯罪者となってしまう場合がある。人生は複雑。作者の指摘は鋭い。(小池光選)
でも、こう言われると、何も罪のない大谷にまで責任がありそうな気がしてきませんか? そんなはずはないけど。 それとますます好調のこの大谷に比べてわが村上の不振の苦しみ。この作者と同姓ゆえもあって、ことさらに感じておられるのではないかと、これは余計な詮索か……。
*その昔まかれた種が花になる「光る君へ」にハマるわれらは(東京都 檀上りく) 【評】NHKの大河ドラマ「光る君へ」。紫式部、清少納言、藤原道長などが登場し、学校で習った歴史や古典の知識がよみがえる。まさに、種から花を咲かせる喜びを感じる。(栗木京子選)
これは小生、ちょっと悔しい思いをしていたところです。やはり源氏物語の周辺など、どちらかというと女性のほうが若いころから関心を持っていろいろ読んでいるようで、その「種」がドラマを見るうえでの、「おや」とか「はて」の対象にもなって、娘どもとの話題にもなるのでしょう。
もひとつ、酒飲みの常かもしれませんが、脂ののった魚が大好きな身にして、以前からの実感ある一首です。
*腹が出て脂ぎってて人ならば不健康なる真鯖が旨い(海南市 樋口勉) 【評】脂を蓄えて自然を生き抜く 鯖さば には当然でも、確かに人間の体で考えれば問題ですね。種族が違えば何もかもが変わるのでしょう。(黒瀬珂瀾選)
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