No.1842 滝沢具幸展に寄せて 投稿者:木器 投稿日:2024年05月11日 (土) 22時27分 [ 返信] |
飯田35会の今回の集まりにとって、特筆すべきことはやはり「慰労会」の対象になった、滝沢具幸画伯の18年間にわたる飯田美術博物館館長としてのご尽力でしょう。
この間、東京から飯田への往来は何と合計500回に及んだと聞き、驚嘆しました。 小生などはかつて「華齢なる音楽祭」の実行委員長を仰せつかって、年に何度か行き来しましたが、その回数は2013年から7回の開催を通じて30回を超えないと思います。
滝沢画伯は、ご自分の芸術家としての創作活動の一方で、こうして故郷の文化の向上のため粉骨してくれたわけですから、本当に頭が下がります。 しかも小生などのように、気楽に高速バスで行き来したのではなく、運ばれる作品も大型のものが多かったので、それを積み込める自家用車を使っての行き来だったようです。
さらに胸を打たれるのは、このたびの何回かの挨拶や面談でも、くり返しておられたように、自分の画業のもとになったのは、この年になって改めて故郷の自然や人情であり、とくに飯田高校という場で培われたものが大きいと感じておられるということです。
こうしたもろもろを総括する意味でも、展覧会の入り口に掲げられた同館の「ごあいさつ」を改めて味読したいと思います。
「ごあいさつ(原文敬称略ママ)
飯田市出身の日本画家で、東京藝術大学や武蔵野美術大学で教鞭をとられた滝沢具幸が、令和6年3月31日をもって飯田市美術博物館館長を退任します。平成18年(2006)4月以来、18年の長きにわたって、美術博物館の学術分野を主体にご助言を賜り、ご指導をいただきました。美術分野はもちろんのこと、幅広い視野をお持ちであり、文化や自然も関心が深く、美術・人文・自然・プラネタリウムが共存する当館の館長にふさわしいお人柄でした。
退官記念展では、綿半野原コレクションなど当館が所蔵する滝沢具幸作品30点に加え、このほど新寄贈となった<地のものたち>を含め一堂に会し、滝沢具幸の画業をあらためて振り返ります。
滝沢具幸は、自然界にある混沌とした情景の中に生命や大地の力を見出し、土や森、原野などを題材に独自の日本画の造形を生み出してきました。現代絵画のアンフォルメルからの刺激を受けて、日本画に新風を吹き込む一方で、古典絵画の技法や素材の探求にも力を注ぎ、飽くことなき表現への旅はつきることがありません。
当館の館長は退かれることになりましたが、生まれ故郷は造形の原点であり、今後も地域との新たな関りによって、創造の世界は深まっていくことでしょう。これまでの感謝を込めて、滝沢具幸の芸術を振り返りたいと思います。 令和6年3月 飯田市美術博物館」
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