以前お話しした『花紋折り』の本が発売になり、全国書店に並び始めました。
今日、配本店舗リストなどを持って、著者のお宅へご報告に上がりましたが、一番喜んでくださるはずの著者・中沢千枝子さんがおられません。本の完成の20日ほどまえに急逝されてしまったのです。
ご葬儀には、完成間近の本の見本をお持ちして、付録で付けた体験用千代紙作品も、私が実際に折ってみて、併せて棺に入れていただきました。
思えばスタートしたのが去年の11月ですから、丸々1年の長いお付き合いでした。それがやっと完成したのですから、それを喜んでいただく顔が見られなかったことが返す返すも残念です。
編集者にとって一番の喜びは、本ができあがりそれを著者に届けて喜んでもらうことでしょう。そして私の場合、よく半分冗談で役得の「編集者特権」と言って、その場で著者から第1号のサイン本をいただくことです。しかし、今回のこの「主なき発売」ではそれもかないません。代わりに息子さんに一筆いただいてきました。
今日は、改めてお仏壇へ本と体験折り紙の完成品をお供えし、今後の宣伝や販売にも努力することをお約束してきました。
少しでも多くの人に、この花紋折りの魅力を知っていただくため、亡き著者もお許しいただけると思いますので、本書の中の体験用を1枚、アップしておきます。
ぜひできるだけ大きく裏表プリントして、体験折りにチャレンジしてみてください。参考までに私の折ったものをアップしておきます。
実際に折っていただければ、きっとどなたでも、あの工業デザイナー・柳宗理さんが、ヨーロッパのかつての芸術運動「バウハウス」の作品に通じるものがあると絶賛した花紋折りの美しさを、自分の手で作り出す楽しさを味わっていただけると思います。
(展開図と千代紙のページを印刷するには、ネットページの右にある「…」メニューから「印刷」を選び、示されたページの中から該当するページ(展開図と千代紙の2ページに分かれます)を選んでA4判・縦、両面プリント、カラーの指定をしていただくと、ちょうど表裏の展開図と模様がうまく一致して印刷されます。これを展開図どおり破線は谷折り、鎖線は山折りで折り目きちんと爪やへらでつけて折っていくと、最初はまとまりが付かないように見えますが、そのうち折りが互いにうまく折り合い、すとんと見事に収まります。その瞬間が快感で、あとは全体の折りの甘いところやゆがみを整えれば完成です)
*発売された中沢千枝子著『花紋折り』――見て癒され、作って若返るORIGAMI作品集。


*紀伊國屋書店新宿本店での発売状況。

*今日伺って記念にいただいた中沢さん作品。簡単に開けて容れ物になる。


*本の巻末に付いている体験用千代紙で実際に折った花紋折り。

*その中の1点の裏表。


*これを実際に折った作品。
