[4294] 題名:京都乃鬼新聞 社説 「継ぐべき人々へ」
名前:京都乃鬼
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MAIL
投稿日:
2023/05/05(金) 00:24
2400:2650:81c1:bc00:8d43:2a17:56e3:db74(IPv6:bbix-ipv6-20110804) (2400:2650:81c1:bc00:8d43:2a17:56e3:db74)
京都乃鬼新聞
2023.5.5
🟰社説🟰
---後を継ぐ人々へ---
「G7広島サミットへの提言」から見る変遷
今回のウクライナとロシアとの戦闘行為をマスコミなどは
「ウクライナ侵攻」と呼び
池田先生は「ウクライナ危機」と言う。
先ずはこれらの違いについて感じるまま述べる。
2022年3月2日に国連で採択された決議では「国連憲章第2条4項(武力による威嚇又は行使を禁じる条文)に違反する、ロシア連邦によるウクライナに対する【侵略】」となっている。
侵攻と侵略の違いは「侵攻」は「他国や他の領地に攻め込む」ことで、対義語は「防衛」となる。
また「侵略」は「他国に攻め入って土地や財産を奪い取る」意味で対義語は「自衛」となる。
マスコミが「戦争」と呼ばないのは宣戦布告がないという理由とロシアが「西側諸国の攻撃から守るため」という自衛権の行使を主張しているためであろう。
そう言う意味では、ロシアと国連の双方の主張は真逆ではあるが一致している。
自衛権を主張しているロシアに対して、その対義語である「侵略」という表現を国連が決議しているからだ。
また日本国政府は令和5年4月25日に発表した声明では「ロシアによるウクライナ【侵略】を踏まえた対応について」との題名で「ロシア軍によるウクライナでの多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、【戦争犯罪】です。」と明確である。
一方、「危機」とは、安定した状態に否定的な影響を与えるような不測の事態の発生、若しくはある事象の決定的または重大な段階を示す分水嶺のこと、と通常言われる。
ロシアとウクライナの間に戦闘行為が続いている事実があり、また「ブッチャの虐殺」だけでなく国連人権理事会が設置した調査委員会がロシアによる民間人への攻撃や虐殺、子供の連れ去りなどの戦争犯罪があったことを確認したと発表し、またバイデン大統領は明確に「ロシアは国連憲章違反している」と日本政府も含め挙ってロシアを非難している中、本年4月に発表された「G7広島サミットへの提言」の冒頭では「ウクライナ危機が、1年以上にわたって続いています」と非常に冷静な立場で書かれていて、別して言えばロシア連邦に相当な配慮が感じられる提言になっているのではないかと思うのだ。
今回の件だけでなく、池田先生が表に出られなくなってから幾多もの提言などが発表されているが、何某かの違和感を感じておられたり、また90歳半ばのご高齢でありながら頻繁に文書作成が出来るのかと疑問に思う方々も多いのではないだろうか?
この違和感は何処から来るのか考えると、今回池田先生が書いたとされる提言は昨年7月の緊急提言(NPT再検討会議に寄せて2022.7.26)、そして今年1月に出された提言(ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言 2023.1.11)の完全な焼き直しであり、独裁者プーチンが行っている冷酷で残忍な戦争犯罪という現実に対して、全くのポエムになっているところではないだろうか?
これらを検証するため先の提言(NPT提言)と(緊急提言)そして今回の提言(G7サミット提言)がどのような内容になっているか要旨を列挙する。
【NPT提言】(2022.7.26 )引用
「本年1月3日、核兵器国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の首脳は、『核戦争の防止と軍拡競争の回避に関する共同声明』を発表していました。
そこで確認されていたのが『核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない』との精神でしたが、世界の亀裂が深まった現在の情勢においても、“核戦争に対する自制”という一点については決して踏みにじる意思はないことを、すべての核兵器国が改めて表明すべきではないでしょうか。
その上で、核兵器の使用という“破滅的な大惨事を引き起こす信管”を、現在の危機から取り除くとともに、核兵器による威嚇が今後の紛争で行われないようにするために、早急に対策を講じることが求められると思えてならないのです」(引用終わり)
これはロシアがウクライナに侵略する前の核保有主要5ケ国首脳の共同声明の内容だけでは物足りないとの認識であり、そして更に踏み込んだ提言をされている。
(NPT提言引用)
「一、1月の共同声明について核兵器国の5カ国が今後も遵守することを誓約し、NPT第6条の核軍縮義務を履行するための一環として、直ちに核兵器のリスクを低減させる措置を進めること。
一、その最優先の課題として、【核兵器の先制不使用】の原則について、核兵器国の5カ国が速やかに明確な誓約を行うこと。
一、共同声明に掲げられた“互いの国を核兵器の標的とせず、他のいかなる国も標的にしていない”との方針を確固たるものにするため、先制不使用の原則に関し、すべての核保有国や核依存国の安全保障政策として普遍化を目指すこと。」(引用終わり)
この提言が発表された当時の状況をまとめると、アメリカは1月の共同声明の後、本来秘密である諜報まで暴露してロシアがウクライナの首都へ電撃的な軍事行動を実行しウクライナ全土を短期間で掌握するだろうと発表。
しかしロシア軍は想定よりも苦戦、短期でウクライナ全土を占領するのが不可能になり、逆に一部地域(ブッチャなど)から撤退を余儀なくされた。
プーチンが長期に渡る軍事行動を避けた場合、より大きな火力で制圧しようとするのではないかと予想され、最悪な状況も想定しなければならない時期に差し掛かっていた。
このような状況下で核兵器だけは使わせないという強い意志が読み取れ、具体策まで提案されるところにリアリストである我が師匠の魂を感じるのである。
次に
【緊急提言】2023.1.11
① 「国連が仲介し、ロシアとウクライナをはじめ主要な関係国による外務大臣会合を早急に開催、停戦の合意を図ることを強く呼びかけ、その後に関係国を交えた首脳会合を行い、平和の回復に向けた本格的な協議を進めるべき。」(引用終わり)
ロシアがウクライナに侵略して約1年になろうとするこの時期に発表するには、些か現状認識が甘くなっている。
「停戦を呼びかける」場合、ウクライナは関係なく、ロシアが軍事侵略を止めれば終わる話なのでロシアに対して強く言う以外にないはずだからである。
ウクライナがロシアの国土を侵略しているわけでなく(ウクライナはドンバスの一部地域やクルミア半島を奪われていてもロシアと対話を続けていたし、外相会談は開戦当初の3月に既に行われていて、ロシア側がウクライナに無理難題を押し付け物別れになっている)、2022年10月にロシアが一方的にウクライナの4州を合併するなどの違法行為、武力による現状変更を止めさせる以外にないからだ。
4州合併後の時点での停戦合意はウクライナにすればあり得ないこと。
もしこれが許されるのならば、中国が台湾侵略しても既成事実さえ作れば容認すると言っているのと同じだからである。
② (要旨)
「核兵器による威嚇と使用を防止するための措置」を講じることが、焦眉の課題である。
③(要旨)
核使用を巡る緊張がエスカレートした時、その切迫性の重力に縛り付けられて、人間が持つ“紛争の悪化を食い止める力”が奪われてしまいかねないという、「核の脅威に内在する負の重力」への問題意識。
④(要旨)
昨年7月、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議への緊急提案を行い、【核兵器の先制不使用】の原則について核兵器国の5カ国が速やかに明確な誓約をすることへの呼びかけ
⑤(引用)
「核使用の自制に関する核保有国の責任を、“一つの円”の形に譬えれば、核攻撃を互いに行う核戦争を防止するための共同声明は、その“半円”にあたるものと言えましょう。
しかしそれだけでは、核兵器の使用の恐れはいつまでも拭えないままとなってしまう。この残された難題を解消するために欠かせないのが、【核兵器の先制不使用】の誓約です。」
(引用終わり)
これらは前回提言と同じほぼ内容となっている。
最後に【G7提言】2023.4 27
① (要旨)
今年2月、ウクライナの平和の早期実現を求める国連総会の緊急特別会合が開かれ「重要インフラに対する攻撃や、住宅、学校、病院を含む民間施設への意図的な攻撃の即時停止」の決議を評価しつつ
「戦闘の全面停止」に向けた協議の場を設け交渉するにあたり、病院や学校で働く医師や教育者などの市民社会の代表をオブザーバーとして加えることを提唱。
交渉に市民の生の声を届けたいという新しい提案だが、あまりにも現実離れしていて、全く池田先生らしくない書き方である。
何故ならば、ロシアが相手の冷徹な国際交渉に市民感情が入り込む隙はないからだ。
それが成立つような相手ならば、そもそも市民を強姦し虐殺したりしないし、病院や学校を攻撃しないからだ。
② (要旨)
G7の首脳が「核兵器の使用又はその威嚇は許されない」との認識を政策転換につなげるために、【核兵器の先制不使用】の誓約について真摯に討議するよう過去2回の提言同様、再三に渡り呼びかけた。
ここでも【核兵器の先制不使用】というキーワードが出てくるが、前の2回の提言と同じであり、前回の提言から3ケ月しか経過していないのだが、それらの焼き直し提言にどれだけの意味と実行性があるのかわからないが、ロシアが「使える核兵器」と言われる「戦術核」を使用する兆候が差し迫っていると危機感を持った人間が、池田先生の名を借りてこれを発表することで核戦争阻止に向けて行動しようとしているのかもしれない。
しかし、核戦争に対する危機感から本気で行動する人間が創価学会幹部の中にいるとは残念ながら思えない。
優れた政治思想は、理想主義と現実主義の相克から生み出さるものだ。
池田先生の平和提言がある時期まで評価されたのも、力と力がぶつかり合う現実世界において、宗教的な理想を実現しようという不抜の覚悟と不退の行動があったからなのだが、
今は、「池田大作」の名前で生み出される数々の言説や提言は、そうした覚悟と行動が伴わない言葉だけの言葉となっており、結果として儚いポエムのような響きになってしまっている。
池田大作全集(145巻)にも書いてあるが、要は創価学会幹部も公明党議員も「理想と現実をまるで別のように考えて、その場その場で誤魔化し諦めている」から何を言っても本気に聞こえないのではないか?
「池田大作」を名乗る書き手も本気ではないし、自省を込めて言うが、読み手も本気ではないのではないか?
理想を現実化し、現実を理想に近づけていく力、これこそ日蓮大聖人の大生命哲学ではないのか?
私も含め「後を継ぐべき人々」は
何を継ぐのか真剣に語り考えようではないか。
創価学会後継者の日に因んで。
以上
提供は敵からは恐れられる
味方からも怖れられる
京都乃鬼新聞社でした。