[14052]

題名：唱法華題目抄

上の三人の中に第一の毀よりも第二の邪智の比丘の毀はしのびがたし又第二の比丘よりも大衣の阿練若の僧は甚し、此の三人は当世の権教を手本とする文字の法師並に諸経論の言語道断の文を信ずる暗禅の法師並に彼等を信ずる在俗等四十余年の諸経と法華経との権実の文義を弁えざる故に、華厳・方等・般若等の心仏衆生・即身是仏・即往十方西方等の文と法華経の諸法実相・即往十方西方の文と語の同じきを以て義理のかはれるを知らず或は諸経の言語道断・心行所滅の文を見て一代聖教には如来の実事をば宣べられざりけりなんどの邪念をおこす、故に悪鬼・此の三人に入つて末代の諸人を損じ国土をも破るなり故に経文に云く「濁劫悪世の中には多く諸の恐怖有らん悪鬼其の身に入つて我を罵詈し毀辱せん乃至仏の方便随宣所説の法を知らず」文・文の心は濁悪世の時比丘我が信ずる所の教は仏の方便随宣の法門ともしらずして権実を弁へたる人出来すれば詈り破しなんどすべし、是偏に悪鬼の身に入りたるをしらずと云うなり、されば末代の愚人の恐るべき事は刀杖・虎狼・十悪・五逆等よりも三衣・一鉢を帯せる暗禅の比丘と並に権教の比丘を貴しと見て実教の人をにくまん俗侶等なり。