[13836] 題名:顕謗法抄
名前:FT
◇S3OiZExQd2
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投稿日:
2025/09/17(水) 19:35
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第二に無間地獄の因果の軽重を明さば、問うて云く五逆罪より外の罪によりて無間地獄に墜んことあるべしや、答えて云く誹謗正法の重罪なり、問うて云く証文如何、答えて云く法華経第二に云く「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば乃至其の人命終して阿鼻獄に入らん」等と云云、此の文に謗法は阿鼻地獄の業と見へたり、問うて云く五逆と謗法と罪の軽重如何、答えて云く大品経に云く「舎利弗仏に白して言わく世尊五逆罪と破法罪と相以するや、仏舎利弗に告わく相以と言うべからず所以は何ん若し般若波羅蜜を破れば則ち十方諸仏の一切智一切種智を破るに為んぬ、仏宝を破るが故に法宝を破るが故に僧宝を破るが故に三宝を破るが故に則ち世間の正見を破す世間の正見を破れば○則ち無量無辺阿僧祇の罪を得るなり無量無辺阿僧祇の罪を得已つて則ち無量無辺阿僧祇の憂苦を受るなり」文又云く「破法の業因縁集るが故に無量百千万億歳大地獄の中に墜つ、此の破法人の輩一大地獄より一大地獄に至る若し劫火起こる時は他方の大地獄の中に至る、是くの如く十方に徧くして彼の間に劫火起こる故に彼より死し破法の業因縁未だ尽きざるが故に是の間の大地獄の中に還来す」等と云云、法華経第七に云く「四衆の中に瞋恚を生じ心不浄なる者有り悪口罵詈して言く是れ無知の比丘と、或は杖木瓦石を以て之を打擲す乃至千劫阿鼻地獄に於いて大苦悩を受く」等と云云、此の経文の心は法華経の行者を悪口し及び杖を以て打擲せるもの其の後に懺悔せりといえども罪いまだ滅せずして千劫・阿鼻地獄に堕ちたりと見えぬ、懺悔せる謗法の罪すら五逆罪に千倍せり況や懺悔せざらん謗法にをいては阿鼻地獄を出ずる期かたかるべし、故に法華経第二に云く「経を読誦し書持すること有らん者を見て軽賤憎嫉して結恨を懐かん乃至其の人命終して阿鼻獄に入り一劫を具足して劫尽きなば更生れん、是くの如く展転して無数劫に至らん」等と云云。
(通解)
第二段として無間地獄の因果の軽重を明かす。 問うていう。 五逆罪以外の罪によって無間地獄に堕ちることはあるのか。 答えていう。 誹謗正法の重罪である。 問うていう。 証文は何か。 答えていう。 法華経第二にこうある。 「もし人がいて信じずにこの経を毀謗すれば[中略]その人は命を終えて阿鼻獄に入る」 この文によって謗法は阿鼻地獄の業と見えるのである。 問うていう。 五逆罪と謗法との罪の軽重は。 答えていう。 大品経にこうある。 「舎利弗が仏にたずねられた。 『世尊よ、五逆罪と破法罪は同じですか』 仏が舎利弗に告げた。 『同じとは言えない。理由はというと、もし般若波羅蜜を破れば則ち十方諸仏の一切智・一切種智を破ることになる。仏宝を破るために法宝を破るり、僧宝を破るために三宝を破るり、則ち世間の正見を破ることになる。世間の正見を破れば○則ち無量無辺阿僧祇の罪を得るのである。無量無辺阿僧祇の罪を得終わって則ち無量無辺阿僧祇の苦を受ける』」 また 「破法の業因縁が集まるゆえに無量百千万億歳の間大地獄の中に堕ちる。この破法の人たちは一大地獄から一大地獄へと転々とする。もし劫火が起きた時は他方の大地獄の中に至る。このように十方をあまねくめぐっている間に劫火が起こる。そのためそこで死んでも破法の業の因縁はまだ尽きていないので、この間また大地獄の中に還って来る」 法華経第七にこうある。 「四衆の中に瞋恚を生じ、心の不浄な者がいて。悪口罵詈して『これは無智の比丘である』という。あるいは杖木や瓦石で打ったりする。[中略]千劫の間阿鼻地獄において大苦悩を受ける」 この経文の趣旨は法華経の行者に悪口を言い、杖で叩いたりするものが、その後に懺悔したとしても罪はいまだ消滅せず、千劫の間阿鼻地獄に堕ちたということである。懺悔した謗法の罪ですら五逆罪の千倍である。まして懺悔しない謗法においてはなおさらである。阿鼻地獄を出る時期は来ないであろう。 したがって法華経第二にこうある。 「経を読誦し書持する者を見て、軽んじて賤しんだり憎んで嫉み結みを懐くならば[中略]その人は命を終えて阿鼻獄に入り、一劫が尽きてまた阿鼻獄に生れる。このように繰り返して無数劫に至る」