[12878]
今もなお沖縄の住民生活に影響を与えている、近親婚を強いられたものだから、
廃藩置県が終わって、琉球王国が滅びて解体した後も、この集落単位の思想だ
けは沖縄戦が始まるまでずっと残っていたのです。
そして隣村の人間と結婚するときには、両方の青年団に罰金を払わなければい
けませんでした。
この罰金が高額だったもので当然近親婚になっていったのです。
だから近親婚の結果、どういう症状が起きるかというと、まず遺伝子異常、も
う1つは精神異常です。これが沖縄県ではものすごく多いのです。
米軍が上陸してきて、収容所を各地域に作って、そこにミックスしたから、自
然にこのエンシェント・リジームが消滅していったのです。
考えてみたら、ヨーロッパなんかを見ていると100年戦争とかざらにあるでし
ょう？
勝ったり負けたりして、血が混ざっていくわけで、悪い言い方ですが、沖縄だ
けは人種のガラパゴスになっていたのです。
さらなる少ない集団の中での血の混ざり合いが、ずっと続いていたのが琉球王
国だったのです。
最近傑作のような話があって、石垣島で２万５０００年前の頭骨が発見されま
した。
これを復元したら、今石垣に住んでいる人たちと顔が変わらないのです。
２万５０００年前から変化していないということです。
「あれ？ 隣のヨシオにそっくり」とか、「あれはヨシオではないか？」とか、
そういう話をしていました。
そういった感じで全く無風状態で変化のない地域だったのです。
女性を２号さん、３号さんまで持つのは男性のステータスで、戦前の沖縄はも
のすごく男尊女卑だったのです。
女性には教育を施さない。
森有礼文部大臣が沖縄に行かれたときに、沖縄の女性たちが健気に一生懸命働
いているものだから、沖縄の教職員を全部那覇に集めて、「沖縄の近代化の基
本は沖縄の女性に高等教育をやることですよ」と言って、
沖縄に高等女学校ができていったのです。
女性は男性の嗜好品のように扱われていたので、辻という遊郭に２号さん、３
号さんを住ませるのが男のステータスだったのです。
財力のある人はそうしていたとして、ない人は哀れなことに自分の娘を遊郭に
売って、それで生活を営んでいた。
自分の娘を遊郭に売るものだから、日本内地でもかなり批判されて、昭和６年
の朝日新聞・大阪版に批判記事が掲載されました。
「自分の娘をたった一銭や二銭で安売りする沖縄の農家」という感じで批判さ
れています。