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習近平の政権誕生は、
能力の高さゆえに互いを警戒した
有力者同士の妥協の産物であり、
無能だから選ばれたというのが実情です。
当初は民主化への期待もありましたが、
習近平は権力を握るや否や、
反腐敗運動を通じて一気に掌握を進めました。
これは李登輝的な民主化観測とは全く逆の展開であり、
中国において苦労して得た権力を手放すことはあり得ない、
という民族的価値観を背景にしています。
一期目の成功は、優秀な側近3人、
政治の王岐山(おうきざん)、軍の劉源(りゅうげん)、
経済の劉鶴(りゅうかく)によるものであり、
彼らは習近平の幼なじみで、
率直な意見を言える稀有な存在でした。
習近平に本当のことを言えるような人間だった。
しかし第三期に入り、
習近平の側近は全員福建省出身で占められた
イエスマンに変わり、
王岐山や劉源のような実力者は排除されました。
軍部は何衛東(かえいとう)、経済は何立峰(かりつほう)
といった習近平に忠誠を誓う人物が配置されていますが、
いずれも力量に欠け、過去の人材と比べれば明らかに
格が落ちると言わざるを得ません。
これにより、習近平政権の権力基盤はかつてほど強固ではなく、
徐々にその不安定さが露呈しつつあります。