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43「おいらのお婆(ばあ)」 |
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茨一径
(4000)投稿日:2011年04月23日 (土) 12時33分
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おいらのお婆は山ひとつ 向こう村から二十歳の春に 海辺の村へ嫁に来た 姑舅につかえつつ 慣れぬ漁師の生活に 愚痴もこぼさず黙々と ときに陰で泣きながら (ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜)
おいらのお婆は子沢山 五男三女の子供をかかえ 頼みの亭主は飲んだくれ 朝から晩まで汗をかき 笑顔絶やさぬ働きに 嫁の手本と噂立ち 今じゃ知らぬ人もない (ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜)
おいらのお婆の楽しみは 暇をみつけて愛情かけた 四季折々に咲く花よ 梅、桃、桜にやぶ椿 つつじ、紫陽花、杜若 牡丹、芍薬、百合に萩 ほんにお婆の宝もの (ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜)
おいらのお婆が見たものは ある日襲った地震津波に すっかり消えた村景色 涙のひとつを見せたきり 背中かがめて片付ける うしろ姿の淋しさが いまも胸によみがえる (ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜)
おいらのお婆にゆびきりさ 春夏秋冬くるたび花が ぱあっと明るく咲くように 大地を耕し種を蒔き 皆の力で咲かすのよ そんな明日が来るように お婆よ空で待っていろ (ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ヨイナ〜 ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・)
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