| [1176] 孤独少女 |
- ドク★りんご - 2006年12月16日 (土) 13時04分
RES
私は夢でも見ているのだろうか
昨日、この資料室でとある事件について調べていたら、 一冊の分厚い、錬金術の本が出てきた。
「Another Word」
そう書かれた題名
開けば中々面白いもので
つい読み耽ってしまっていた。
この世界とは違うもうひとつの世界があって
同じ顔の人間がまったく違う暮らしをしていて、
その世界とは行き来する事は困難であるが、
何千年に一度、扉が開く。
あちらの世界の者はこちらの世界に、
大きな影響を与えるであろう・・・・・・・
長々とそう書かれていた
そういえば昔そんな事を言ってる奴がいたな、と、ふと思った。
私の初恋の相手。
その当時、私よりも少し背が高かった。
夢だけを追いかけて、いつもまっすぐな、でも泣き虫な、
あの瞳が愛しくてたまらなかった。
ある日突然この世から消えてしまったあいつの事を、
忘れる事は出来なかった
表紙には見た事の無い形の錬成陣
かなり昔の人が書いたものらしく、私にも理解できなかった。
その時、
「大佐、そろそろ時間です」
中尉が資料室の扉を開けた。
「あぁ、すまない」
そう言って私はまた明日読もうと思い、その本をそのままにしておいた。
帰宅後、軍服を脱いだとき、
国家錬金術師の証である、銀時計が無いのに気が付いた。
盗まれたか、そう思ったが、そんなはず無い。
今日は一日中資料室にいて会ったのは中尉しか居ない。
あの人は盗みなんかしないと分かっている。
となればあの資料室。
明日にでもとりに行けばいいか、と
その日は床に付いた
そして今に至る
これは何だ、?
昨日ここは本棚で一杯だったのに、
いまは見た事の無いもので埋め尽くされている
後ろに居る中尉と少尉も戸惑いを隠せないようだ。
呆気にとられていると
足元からガシャ、と何かが落ちる音がして銃を向けた
目を疑った
「君はっ!?・・・・アイラ?アイラなのか!!?」
どうして、なぜ君がここに居る?
私は手を伸ばした。
その存在を確かめたくて。
アイラは怯えていた。
でも存在は確かで、
私は泣きたい気持ちでいっぱいだった。
握ったアイラの腕は震えていて、
その瞳は恐怖に溢れていた。
『早く保護しなければ』
そんな考えが脳裏に浮かび、
中尉とハボックに指示を出した。
するとカチカチと物音が聞こえ、
見下ろすと、アイラは何やら黒い物を操作していた
まさか・・・・・・爆弾か?
「アイラ、その黒い物はなんだ?」
私の問いかけにも答えず震える手で操作を続けるアイラ。
「それをこちらに渡しなさい」
中尉の言葉にこ耳を傾けずひたすら震える手を動かし続けていた。
ふとアイラがそれを耳に当てた。
小さく音が聞こえ
私は爆弾と確信した
『アイラ「助けて!!!!」
なぜ助けを求める?
いつでも私は手をさし伸ばしてあげたのに
なぜ違う男に縋る?
ドス
そんな事を考えてるうちに無意識でアイラから耳に当てていた爆弾らしき物体を取り上げた。
あぁ、こんなにもピアスを開けてしまって。
キラキラ光るアイラの耳に付けられたいくつものピアスに見とれてしまっている隙に、
ハボックがアイラの意識を奪っていた
ガタッ
アイラが倒れて私もはっと我を取り戻した
「この子が大佐の言ってたアイラって娘ですか?」
「おそらくね」
後ろで話をする二人に私は言った
「今日ここで見た事は他言無用だ!」
「「はっ」」
物分りのいい部下を持って良かったと
改めて思った

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