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[38] 親の障害の受容について。
ちえのすけ - 2007年07月09日 (月) 10時52分

親の障害の受容・・・

これは難しいと思います。
正直「障害のある息子を持っています」と堂々と保護者会でいってのける私でも、
本当に心から受け入れているかと問われれば・・・???かもしれません。

「他人の子供に障害があることを受け入れる」ことは5分もあれば出来ると思います。
でも「自分の子供に障害がある」ことを認めることは、有る意味一生かかっても成しえないほど難しいことなのかもしれません。

TEACCHの第一人者の佐々木正美先生の著書、
「続・こどもへのまなざし」の後ろのほうに、
障害のあるこどもへの対応や親の障害の受容について描かれているのですが、
そのなかにこんな記述がありました。

「障害児であるということを認めるということは、ある意味では子供の精神的な死を意味するとおっしゃった人もいます。子供は精神的に死んだのだ。少なくても親の側かは、なんの期待もできない子供なんだと。別の言葉でいいますと、今度親には義務ばかりが続いて、子供に期待をするとか、夢を託すとか、喜びをみつけるということはいっさいなくなって、ただ義務ばかりという気持ちになるものですよ、とおっしゃっています」(引用終わり)

どんな親でも、子供が産まれれば、ささやかな期待を抱くものだと思います。
総理大臣にしたいとかの大きな夢でなくっても、
女の子であれば一緒にお料理を楽しみたいとか、洋服を貸し借りしたり一緒に買い物を楽しんだり。
男の子であれば、キャッチボールをしたい、二十歳になったら一緒に酒でも飲みながら男同士の話をしたい・・
そして年ごろになれば伴侶を得て、孫の顔でも時折見せて欲しい・・・とか。

私にもそんなささやかな夢がありました。
でも息子に障害があると判ったとき、なにもかもが粉々に砕け散ったような喪失感を覚えたのを記憶しています。

ただ、障害が判ったのが非常に小さいときだったので、
夢の破壊から再構築の段階に徐々に移動しつつありますが。

周りを見ていると、障害が小さいとき、また早期に判った親子ほど、
腹をくくって障害を受け止めている確立が高いように思います。
また、軽度より重度のほうが親も周囲も認めやすいとも思います。
ダウン症など、遺伝子系の障害で、目に見える形で障害を告知された場合のほうが、
障害を認めやすいようにも思います。
自閉などは、遺伝子などわかりやすい判断基準ではなく、
「行動そのもの」が診断基準になっているので、
「この行動がおさまれば・・・」と親も期待をしがちかもしれません。
軽度なら軽度であるほど、障害と判るのが遅ければ遅いほど、なおさらだと思います。

また、子供に障害があることは、親の人生にも大きな影響をもたらします。
普通は子供はある程度の歳になれば手がかからなくなり、
親は自分の時間をもったり、仕事を再開したりと活動や行動に幅がでるものですが、
子供に障害があるとなればなかなかそうともいきません。
「子供の人生も心配だけれど、私自身のささやかな人生設計も粉々に砕けた」といった話も聞いたことがあります。

以前、NHKでアルツハイマーなど認知症の人のかたのことをスペシャルとしてとりあげていたとき、
「早期発見、早期絶望」という言葉がありました。
治療法がなければ告知されたとてその先には絶望しか待ってない・・・
それは障害とて同じだと思うのです。
「いまはこういう状態ですが、改善の余地はたくさんあるんです、私たちが支えていきますから一緒にがんばりましょう」
そういった支えが必要だと思います。

私が一番有り難かったのは、「病院へいくことを強くすすめる」人が周囲にいなかったことでした。(療育にはさんざん通っていたのですが。)
ある意味、障害を受け入れられない状態で「障害名をはっきりさせなくちゃ」といわれていたら、ものすごく苦しめられたと思います。
周囲がその家族に対して適切な配慮をしながら「受容を待つ」ことが大事ではないでしょうか。佐々木正美先生も「親が受け入れられるまで待っていてください」と書かれています。
現場では「そんなこといったって」と待ったなしの状況もあるのでしょうが、障害名がなくても、「いまここにいる子に今日この時間に必要な支援」をみつけだすことは、勘の良い先生であればある程度可能ではないかと思うのです。

あと、個人的におすすめの本があります。
「こころをラクにあたまをクリアに」〜遅れのある子をはぐくむ親と専門家のために
大林泉著 ぶどう社
臨床心理士の先生が書かれた本です。実はお子さんが重度の知的障害です。
専門家として子どもたちや親の相談にのってきた著者が、自分が相談をする側になり、今までの価値観がひっくり返ったと書かれています。
最初は書店で立ち読みし、「この人なんで私たちの気持ちがこんなに解るの?」
と驚いて速攻買ってしまいました。
「親の気持ちに寄りそう本」としてイチ押しです。サンタ先生にも、もしお持ちでなかったら是非読んで頂きたいです。


[40] なるほど・・・
サンタ - 2007年07月09日 (月) 21時30分

 ちえのすけさん、書き込みをありがとうございました。(題名等は私の方でなおしました)

 障がいのある子どもを受け入れることは、子どもの精神的な死を意味する・・・、というのは、その通りだと思います。
 また、子どもの障がいは、親の人生に大きな影響を与えるのもよく分かります。
 なので、精神的なことの前に、もっと生活の基本的な部分での大変さに、圧倒されてしまうということがあるのではないでしょうか。

 その点、私は兄弟に障がい者がいるので、とてもよく分かります。
 家族に1人、障がいのある者がいると、どうしても何かと条件が付くことになります。だからといって、不幸ではありませんが、不便なところが出てくるのは確かですから。

 ちえのすけさんが挙げてくださった本、読んだことがありませんので、是非、取り寄せてみたいと思います。
 ありがとうございました。

[43] ありがとうございました。
ちえのすけ - 2007年07月11日 (水) 13時18分

サンタ先生、訂正ありがとうございました。
>また、子どもの障がいは、親の人生に大きな影響を与えるのもよく分かります。
 なので、精神的なことの前に、もっと生活の基本的な部分での大変さに、圧倒されてしまうということがあるのではないでしょうか。

これは本当にそうだと思います。
障害児の兄弟にとっては障害は幼少時から身近に感じていることかもしれませんが、
私もそうですが、障害児を身近に感じて育つ人は少ないと思うので、
戸惑い、哀しみ、いろんな感情がごちゃまぜになり、一時的にうつ状態に近いものになるかたが多いです。
私も一度心療内科にかかりましたが、
「あなたと同じ立場の人は私のところへたくさん来るのよ、でもあなた自分で育ててるんだからエライじゃない、手放してしまう人も少なくないわ」
と言われたことがありますよ。

私の周囲のかたも、「自殺を考えた」「心中を考えた」というかたも少なくなく、
「5階に住んでいたのだけれど飛び降りてしまいそうで1階に引っ越した」というかたもいますよ。実話です。
不思議に高層住宅のかたは飛び降りを、
電車の近くに住むかたは飛び込みを、
河川の近くの方々は入水自殺を思うようです。

いまの私たちの親の世代は養護学校が義務化され、
また校内に特殊学級があっても今ほど理解も交流もなく、
また偏差値教育など「成績至上主義」の受験戦争を戦ってきた世代。
「勉強のできる子=良い子」ということになんの疑問もなく、
その反発か「積み木くずし」に代表されるツッパリが横行。
(歳がばれてしまいますかね)

障害児という存在も身近に感じることは少なく、
なんとなく差別と偏見をもちながら育ってきたかたがすくなくないと思います。
私もそうでした、
ただ私の場合、地元の小学校・中学校に特殊学級はあり、近所に聴覚障害のある子どもがいて、(同級生の兄)
体育のときなど、特殊学級の子どもがいるチームはどうしても弱くなるから
そのときは強い子を混ぜてバランスをとったり、
耳が聞こえない同級生の兄のことも、幼かったせいか、当たり前のように受け入れていて違和感を感じなかったです。
知的には全く問題ないかただったので普通にじゃんけんして遊んでいましたし。

おすすめの本、是非読んでみて頂きたいと思います、
佐々木正美先生の「続・こどもへのまなざし」も障害児への記述はすくないですが、おすすめです。
あと、海津敦子さんというかたが書かれた(このかたも当事者です)
「発達に遅れのある子の親になる」日本評論社
と、
「心を抱きしめると子育てが変わる」主婦の友社 萩原光 著
もおすすめです。
萩原さんはもと教員、いまは自閉症や発達に遅れのある子、その親の相談にのるカウンセラーさんをしています。
障害児向けという本ではありませんが、参考になることが多いかと思います。




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