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番号: 441
名前: 織田信長
日付: 2025年07月17日 (木) 16時09分
本文: しかし、幸せはそう長くは続かなかった。
世界中で牛インフルエンザが発生し、牛肉が仕入れられなくなってしまう。そして牛丼屋は閉店し、シンタは悲しみに明け暮れていた。そのとき、AIシュンタに「牛丼屋が続かない確率は100%、最初からわかりきったことだった」と心無い言葉をかけられる。
それを聞いたシンタは、このAIがシュンタではないことを確信し、目の前にあったサイダーの瓶でAIを破壊し、機能を停止させた。
そしてシンタは再び一人になる。
しかし今のシュンタの死を受け入れたシンタは、一人が怖くなかった。
シンタは自給自足の生活を始めようと山に登っていた。
そこでシンタはシュンタと似た雰囲気の女性、瞬子と出会う。
どうやらこの山に生息する化け物“クラムボン”に家族を殺され、ひとりぼっちになっていた瞬子は、田んぼでぽつんと佇んでいた。
シンタが何をしているのか問いかけると、瞬子は「一人きりになって寂しいから田んぼにいるザリガニを連れて帰ろうと思って」と言う。
それを見たシンタは一言
「じゃあ俺が一緒に家へ帰ろう」
こうして二人は身をよせあうようにして暮らし始めた。
瞬子は本来朝から晩までよく喋る娘であり、口数が少なく内気になっていたシンタの表情以外からも感情の動きを感じ取り、心を通じ合わせた。
瞬子は牛丼やサイダーが大好きなので、シンタが買ってくると大喜びしていたらしい。
瞬子はシンタの手をしっかりと繋いでくれた人で、シンタは瞬子と手を繋いで歩く田畑への道がとても幸せだったという。
それから十年経って、二人は正式に夫婦となった。
両者が結ばれて間もなく、瞬子はシンタとの子供を授かった。
愛する瞬子と子供と小さな家で静かに暮らす事だけが今のシンタの望みであり、自分にも新しい家族ができたという幸福を噛みしめる。
ささやかではあるが確かな幸せがそこにあった。

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