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ミミズ千匹、カズノコ天井、地獄万力と言われなくなってから久しい。 かつて戸部くんを悶えさせたミミズはとっくの昔に干上がり、カズノコも酢浸けにされ過ぎたような臭気を放っている。 そして自慢の締めはというと、ウンコ座りした途端に子宮口が外に飛び出してくる程だ。 まともに手入れもせず蜘蛛の巣どころか垢と粘液が混ざった黄色い糸で蜘蛛を絡め取るまで深化してしまった。 さらに裸族である。日中出歩く時、雨が降ってもアラレが降っても買い物をしていても、下半身は必ずさらしているのだ。 だから近所の人には分かる。 臭いと思ったことがあたかもしれない!これは夏実だと思ったことがあたかもしれない!
しかし天使園の人々は、逃げられない。商品を置いて逃げるわけにはいかない。運が良ければ通り過ぎるだけなのだ。運が悪ければ…。 厚子が、局部をかきながら、天使園に近づいていく。そして糸を引いた指先が、園内に並んだ夏みかんを掴んだ。 終わった。天使園の修道士は極度の緊張と臭気で倒れ伏し、野菜の苗床となった。 その間にも夏実は、局部を忙しそうに掻きむしりながら、商品を選んでいく。クラムボンを黒ずんだ爪で押し潰すとしばらくしてからカゴに戻し、銀木犀のポプリにいたっては局部に二三度挿入してからカゴに戻した。 そしてより綺麗な、大きい夏みかんを4、5個選ぶと、突如としてその場でウンコ座りをした。 ぶりゅっ。座り込んだ勢いで、弛みきった腹の奥から、勢いよく子宮口が顔を覗かせていた。毒々しいまでの赤黒さ。その中でも特に黒ずんでいる口元を、夏実は両の指先でせわしなくまさぐる。 ぐちゅるちゅぐちゅるぐ。 やけに粘度の高い水音が店先に響く。夏実は構わず子宮口をいじくり回し、野太い喘ぎ声が昼の天使園にこだまする。 耐えられず吐きはじめるカレーライスのお父さん、涙で標本を汚すエーミール、火縄銃を連射する兵十。 騒然とする天使園の中、やがて動きを止めた夏実の手の平には、銀木犀の花が乗せられていた。 |