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ルロイ修道士視点 明日は我が天使園出身の戸部が九州で大学の入学式、戸部はもう今後ワシからの援助は受けない、などと寝ぼけた事を言いあろうことか、乗った経験のない長距離バスで行くとほざきだした。 電車の乗り換えすらもままならない戸部が長距離バスで無事目的地にたどり着けるだろうか、 そして言わなくともわかるだろう、ある不安が生じ念のため、戸部には秘密にして同じバスに乗る事にした。 若干の変装をして当日バスに乗車すると、一人遅れているらしく中々バスは動かない。半ば確信に近い予想を胸に待っていると、 遅れてやってきたのは案の定あの戸部だった。教師として他の乗客に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。思わず人差し指を交差して打ちつけた。「あたかもしれない」、なにがあたかもしれないだ、日本人の癖にあたかもの使い方もわからんのか。 とりあえず予定から遅れたとはいえバスが無事出発した事に安堵したのも束の間、あの戸部はあろう事かサッカーボールを磨き始めた。 密室であのようなものを磨けば匂いが室内に充満する事なんて猿でもわかる。教師として教育に無関心だった事に、再び他の乗客に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 綺麗になったであろうサッカーボールを磨いている音がワシを嘲笑しているかのように感じ、ここ最近の天使園の悪ガキを思い出す。 バスはギンモクセイの木があるSAに到着し、戸部にバレないようにバスの中に籠っているとまたしてもあいつは遅刻してきた。 さすがに呆れる感情すら馬鹿らしくなり少し仮眠を取ろうとすると前の方から椅子を激しく揺らす音が聞こえ 「もぉダメだと思ったことがあたかもしれない!!我慢できないと思ったことがあたかもしれない!!漏れちゃうと思ったことがあたかもしれないィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」 ワシのある不安は最悪の形で的中してしまった。
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