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夏実視点 入試もひと段落、明日は九州で親友とお疲れパーティー。両親からもいよいよ独立し、経済的にも社会的にも自立を目指す私は当然自分で交通費を出す。私はお財布もキツイし節約も兼ねて長距離バスを利用して行くことにした。 バス乗り場で予定通りに乗車。一人遅れているらしく、中々バスは動かない。ようやく表れたかと思ったらまさかの戸部くん。彼は悪びれもせずズンズンこちらに歩いてくる。 ゲッ、もしかして隣の席は戸部くんなのだろうか、サイテーの気分。「あたかもしれない」とかボソボソ喋っていてメチャクチャキモイ限界。 もー早く降りたいよ!なんで戸部くんが隣なの!私が乗る長距離バスは4列だった。値段で選んだのは人生最大の失敗だった。 どうにかして到着するまで寝ようと思ったけれど隣の戸部くんの独り言と妙な泥の匂いが気になって眠れない。 しばらくするとキモイコイツは何やら鞄を開けて何をするかと思ったら、何と泥だらけのサッカーボールを取り出してる!メチャありえないんですけど!!助けてお母さん。もう涙目だ。 ガサゴソと包装紙からサッカーボールを取り出したかと思うと磨きだしべちゃべちゃと泥を跳ねている。キツイ泥の臭いも広がって車内の空気は最低だ。 泥の塊もわしづかみにしてボロボロ床に落としている。最低。サッカーボールは綺麗になったのにゴシゴシと大きな音を立てて磨いている。 流石に限界を感じイライラが爆発しそうになると、バスはギンモクセイの木があるSAで休憩に入り出した。せめて心の洗濯をしよう。手洗いに行き気分を少し紛らわせてバスに戻った。 隣の戸部くんはどうも食べながらボール磨きをしていたようでまた当たり前のように遅刻していた。車内の沈んだ空気を載せようやく目的地の九州へ向けバスが出発したのも束の間、隣の戸部くんが急に椅子をガクガクやりだすと叫びだした。 「もぉダメだと思ったことがあたかもしれない!!我慢できないと思ったことがあたかもしれない!!漏れちゃうと思ったことがあたかもしれないィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」 やっぱり戸部くんって、わけがわからない |