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古代のインドで仏教が誕生したのに現代のインドではあまり仏教が信仰されていないと聞いた事があります。
その背景にあるのはインド社会に根付いたカースト制に仏教の教えが不都合であったからでしょうか?
その一方でスリランカに於いて仏教が国教となったわけですが、インドとスリランカの仏教の信仰の厚さがどうしてこんなにも違うのか併せて教えて頂けると幸いです。2020年01月15日 (水) 13時09分 No.4530
Re.インドであまり仏教が信仰されなくなったのは何故? - ひろどうもこんばんは。
色々な説がありますが、どれも決定打にかけており仮説の域を出ません。
以前、仏教学者で花園大学教授の佐々木閑先生に同じ質問を行いました。
先生の見解としては、インドにおいて仏教は自滅したのだろうというご意見でした。
私も納得しており、その説を支持しております。
インドで仏教が衰退したのは駆逐されたのではなく、仏教の自滅とインド特有の何でも飲み込む文化だからです。
結局インド全域に広がったのに、現在ではジャイナ教やヒンドゥー教が残っている点、仏教の根本分裂から、民衆に寄り添わなくなって学問に特化していったため滅んでしまったのだと思います。
インドのカーストに関しては我々が簡単に想像できるような単純なものではありません。
インドから見て、イスラム教徒と言うカーストやジャイナ教徒と言うカースト、シク教徒と言うカースト、仏教徒と言うカーストもあります。また各宗教の信者もそのカーストを受け入れています。
(被差別カーストが嫌だからイスラム教徒と言うカーストになる等)
インド人仏教徒の中でも、「私はあの仏教徒より上位カースト」という意識もあるようです。
選挙では文字が読めない人のために、各カーストに合わせたイラストでも政党(カーストごとに政党がある)を選ぶようになっています。
(そのためインドの選挙費用は1兆円)
仏教は人の生きる道としてのカースト制を否定していますが、制度としてのカースト制度を否定していません。
制度としてのカースト制を否定すると、バラモンや王侯貴族や商人などからの人気は出なかったでしょう。
沙門果経にも奴隷が出家したときの功徳があります。
俗世間の事なので放っておいているという方がしっくりくるかもしれませんが。
(例えば、カースト制度はとんでもない! と言うのではなくて、仏弟子なのでどんなカーストでも気にしません、と答えるようなものです)
スリランカに関しても大乗仏教を駆逐していますし、一度仏教自体が滅んでおります。
またスリランカの国教は仏教ではありません。
そして未だにテロが治まっていません。
インドとスリランカを比べると、島国と文化の違いにより仏教が信仰されているというところだと思います。
唐時代の歴史建造物は中国本土にはなく日本にあるのと似ているのかもしれません。
仏教的に言うと、インドで仏教が衰退した理由は大般涅槃経に書かれているような事をしなくなったために衰退したという事でしょう。2020年01月16日 (木) 11時16分 No.4535
ご教示ありがとうございます - 崎山昔、カースト制のアウトキャストにある人を出家させる事を認めたお釈迦様は当時のバラモンが上位にあったインド社会から敵視もされていたと聞いた事があるので、仏教に対してカースト制度のあるインドとの関係性の中で仏教を信仰する仏教徒の人口が増えては減ってと今に至ったのかな?なんて考えていました。
インドの隣りにあるスリランカも文化や慣習で似ているのかと考えては、どうしてスリランカの方で仏教が厚く信仰されているのか不思議でもありましたね。
複雑な事情に歴史や要因があったのかなと受け取りました。
ご回答ありがとうございました。
2020年01月16日 (木) 15時31分 No.4537
Re.ご教示ありがとうございます - ひろどうもこんばんは。
欧米人からすれば、日本人と中国人や日本と中国の違いが分からないそうです。
実はインドとスリランカも同じで、我々から見たら似ていたり一緒かもしれませんが、当事者からすれば全く違うと感じるかもしれません。
中国でも、中国人と香港人とチベット人とウィグル人と台湾人等は違います。
インド国内だけでも様々な文化があります。
同じように、バラモン人の中でも宗教も主義主張も違います。
仏教はナースティカ(異端)だからバラモンは全員嫌っていたかと言うとそうではなく、ブッダと仲の良かったバラモンもおります。
逆に仏教教団内にもダイバダッタのように反旗を翻した人もいます。
歴史を見ると、ダンマにそった生活をした場合は、異なる宗教や主義主張と共存共栄してきました。
カーストがあるのはスリランカも一緒です。
インド国内ではダリット出身者やヒンドゥー教の聖職者が政治家となり、カースト差別を止める政策を行っているので、仏教への魅力が出し切れていない状況です。
差別撤廃の流れになってきているし、教義・哲学・文学的な事や祭祀に関してはヒンドゥー教のままで良いという考えや、また逆差別もあるため権利を享受しているダリットもいます。
(逆差別されていないダリットも数多くいますが)
仰るように、複雑な事情や要因、文化などが絡み合った結果だと思います。2020年01月17日 (金) 18時25分 No.4541