テーラワーダ仏教が根付いた社会の、テレビドラマの事例紹介

こんにちは。

１０年弱にわたり月刊誌パティパダで学ばせていただいている、東京近郊在住のテーラワーダ仏教協会会員です。

スマナサーラ長老によるビパッサナ瞑想とアビダンマッタサンガハの入門指導からスタートし、現在はミャンマー政府派遣の高僧による日本語での指導を間欠的に受けながら、普通の在家生活者（サラリーマン）として日常的なビパッサナを続けております。

今回、書き込みを行いますのは、皆様への情報提供が目的です。厳密な意味ではビパッサナ修行そのものに関する情報ではないので恐縮ですが、スリランカのマハー・ビハーラの教義にもとづくテーラワーダ仏教が倫理規範として根付いた社会がどのようになるのか、その事例を探しておりました。最近は、ミャンマーやタイのドラマなどがYoutubeで見られるようになり、ドラマを通じてその社会に暮らす人々の価値観や倫理観などを垣間見ることができます。

ただ、現地の言語がわからない自分にとって、ミャンマーなどの作品は英語字幕版でしか視聴できず、社会・経済の事情が日本と大きく隔たっているため、教義に沿っている点は理解できても、生活感覚としてなかなかわかりにくいという難点がありました。今日紹介するタイの日本語字幕つきの作品は、「善行を積んで努力する若者を、町の鎮守のご神木の祠に宿る天人が助ける」という勧善懲悪の物語です。あくまでも娯楽作品であってテーラワーダの教育映画ではありませんので、内容そのものはジョークだと思ってください。日本のアニメ「ドラえもん」に似た役割を天人（精霊：テーワダ）が演じます。

私が注目したのは、登場人物たちの普通の会話の中に、テーラーワーダ仏教の重要な教えが至極当然のように織り込まれていることです。いわく、「悪いことはせず、良いことをして、自らの心を清める。これが仏の教えです」、「善因善果、悪因悪果」、「自らの行いの結果は、自らが受けることになる」などなど。

これは日本仏教でも同じように教えますし、日本文化の基礎のひとつになっています。タイの場合も、日本と同様に日常生活の発想や日常の言語に深く浸透しております。今まで視聴した複数のドラマでは、ラブストーリや恋愛の歌の中にも、「ダンマ」「因縁」「業」などが自然に織り込まれており、まるで、日本の葬式のお経の文句のようで、最初はびっくりしました。ただ、慣れてくると、「いかなるダンマの因縁によって（タンマイと発音）」という言葉は単に、日常会話で「なぜ？（ｗｈｙ）」の意味だったり、４０種類のサマタ瞑想のうち仏随念（つまり念仏）の技法としてプットー（仏陀）と唱えるやりかたが、心を落ち着かせるための日常的な瞑想法として紹介されます。もちろん、ビパッサナの歩く瞑想も日常的な善行為として登場します。

この作品は、2011年にタイでテレビ放映された動画に、プロなみの実力のボランティアの日本語字幕作成者がYoutubeなどに投稿したものです。番組のジャンルとしては「ミュージカル・テレビドラマ」となっており、歌あり、笑いあり、涙ありで、日本ではあまり見かけないジャンルです。
主演はタイ王国の若手トップ歌手のビー・スクリット、共演は大女優のノック・シンジャイ。タイのポップスなどの歌番組としても秀逸です。

日本語字幕を表示させるには、動画の下にある字幕（ＣＣ）ボタンを押してください。詳しくは日本語字幕作成者の下記のブログの説明参照。第１話から第３６話（最終回）までのＵＲＬは下記の通りです。

第１話から第１８話までのリンク一覧表
http://ameblo.jp/naaruk/themeentrylist-1-10036259096.html

第１９話から第３６話（最終回）までのリンク一覧表
http://ameblo.jp/naaruk/themeentrylist-1-10036259096-2.html

日本人は、「なんとなく仏教的な雰囲気」が浸透した言語・習慣・発想法の生活環境で普通に暮らしているのですが、社会環境が工業化して現代の日本に近いタイの人々がどのような仏教的な雰囲気の中で暮らしているのかを垣間見ることのできる名作です。

年末、年始のお休みで、お暇があればぜひご視聴ください。実は、第１話に「殺人事件ミステリー」の鍵がたくさん隠されています。お楽しみください。

2014年12月24日 (水) 13時50分 No.3271

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