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[742] アトルガンM「王子の告白」
M - 2006年04月22日 (土) 21時59分

■王子の告白
 ドラギーユ城のハルヴァー(Halver)に
 「ライファルの手紙」を届けよう。


■サンドリア ドラギーユ城

Halver : [YourName]か。
嘆願書の類ならば、まず私が見よう。

Halver : なんだこれは?
手紙のようだが……

Halver : あまりに悪筆すぎて
私に宛てたものかどうかすら、
わからんではないか。

Halver : いや、ちょっと待て……
このキャリオンワームのダンスの如き
筆跡には確かに見覚えが……。

Halver : この手紙を
おまえに託した人物……

Halver : この忌まわしき筆跡の主……

Halver : この手紙を書いたのは、
我が主、サンドリア王国第一王位継承者、
トリオン・I・ドラギーユ様では?


Halver : ……なに? 違うと申すか?

Halver : この書状は、
賢者ライファルが書かれたもの、と?
しかし、この字はどうみても……

Halver : それが証拠に、長年
トリオン様に仕えてきた私は、
このような、あくひ……いや「タッピツ」で
あらせられても、解読……

Halver : いやはやいや、
ご推察することができるのだ。
ちょっと待っておれ。

Halver : …………。

Halver : ???

Halver : マ・テキ?
セソの風?? 争い???

Halver : …………読めぬなぁ。

Halver : この手紙、
トリオン様がしたためられたものに
違いないというのに!

Halver : いったい何が書いてあるのかが、
さっぱりわからぬとは……。

Rahal : ハルヴァー殿。
何かお困りのようだが……

Halver : !

Halver : ラーアルか。
おまえの手など借りずとも……

Rahal : そう邪険にされますな。
あやしき書状が届いているとか?

Halver : な、なぜおまえがそのことを?

Rahal : それは、この者が……。

Rahal : 先日、トリオン様が
ご公務の書類も捨て置き……

Rahal : マネキンを身代わりに、
深夜、城を抜け出された時……

Halver : ……この間は、野ウサギだったな。

Rahal : 私は密かに、
忍びの技を身につけた、
このトラビアルス(Travialce)にトリオン様を
追跡させたのですが……

Rahal : トラビアルス、続きを。

Travialce : はっ。
トリオン様は、まずマウラに向かわれ、
そこで冒険者に身をやつされました。

Halver : ああ……。
一国の次代を担うお方が、
冒険者の真似事とは……。

Halver : なんと、嘆かわしい。

Travialce : それから、
兵員輸送船を待ってアトルガンへと……。

Halver : なんと!?
そんな遠国に? それで?

Travialce : はい。急いで私も
同船に忍び込み、気づかれぬよう、航海中、
トリオン様をお守りいたしておりました。

Travialce : 船は、無事
アトルガンの都アルザビに到着。

Travialce : 上陸後、
トリオン様は傭兵会社に向かわれ
そこで、ご契約されたようです。

Halver : 契約!?
まさか、ご本名ではなかろうな?
下手をすると、国際問題に発展しかねんぞ。

Travialce : それはござりませぬ。
現地で、トリオン様は「ライファル」と
名乗っておられたのを耳にしましたので。

Halver : では、彼の国の誰にも
正体はばれておらぬのだな?

Travialce : いえ、それはいかがかと……
トリオン様は、派手な金色の甲冑を着込まれ、
精力的に情報を集めておられました。

Halver : あぁぁぁ。
目立っておるではないかっ!

Travialce : 御意。

Travialce : そういえば、この者の顔も、
同じ傭兵会社で見かけました……

Travialce : おそれながら、
その書状、トリオン様が現地の茶屋で
したためておられた書状に、相違ないかと。

Rahal : トリオン様が、
もう少し我らを頼ってくだされば……。

Rahal : もっと、慎重に判断し
行動されるべきだと、私は思う。

Halver : ……そのことは、
また後で話すこととしよう。

Halver : それよりも、トリオン様が
おそらくは、たびたびアトルガンへ
向かわれている理由を知ることのほうが先決……

Halver : 今、アトルガンの国情は
どうなっているのか?

Rahal : ご安心ください。

Rahal : ずっと後をつけておりました
トラビアルスならば、多くのことを
見聞きしておりましょう。

[743]
M - 2006年04月22日 (土) 22時01分

Travialce : ……承りました。
ライファル様……いえ、トリオン様を
追跡しつつ、私が見聞きした、事、人、物。
すべてをかいつまんで、ご報告いたします。

Travialce : 彼の国、
アトルガンでは、今から4年前、
前聖皇ジャルザーン(Jalzahn)とその正妃が
ほぼ同時期に崩御されました……。

Halver : 覚えておる。その時は、
我が国からも弔問使節を送ったのだ。
確か、流行り病であられたな……。

Travialce : その機を見て、
彼の国の西方辺境で従っていた蛮族国は、
ここぞとばかりに朝貢を怠り始めました。

Halver : ふん、
これだから獣人は信用ならん。

Travialce : 彼の国の
長びく東方諸国との戦は、
膠着状態にあるとはいえ予断を許さず、
Travialce : 正規軍主力を
西方に振り向けることもままならず……
Travialce : そのまま西方辺境を放置するうち、
有力蛮族である「マムージャ蕃国」と
「ハルブーン傭兵団」が相次いで叛旗を翻し、
それに「死者の軍団」という勢力も呼応……。

Rahal : 武でなる我が国でさえ、
オーク帝国の駐留軍だけで
手を焼いておるのに、なんと三勢力か?

Rahal : いかに大国とはいえ、それは……
Travialce : はい。ついに昨今は、
皇都にまで蛮族の侵攻を許す始末。

Travialce : もはや、
都市防壁を修復する余裕さえ、
彼の国にはございませぬ……。

Halver : そのような危険な場所に、
おひとりで滞在されるとは、いかに武を誇る
トリオン様といえど、あってはならぬこと。

Halver : このような事態を招いた責任を、
警護の者に問わねばならんな。

Halver : 神殿騎士団団長を呼んでまいれ!

Halver : クリルラ。
トリオン様が度々城を抜け出される件、
行き先を、そこの従騎士がつかんだのだ。

Curilla : ……王立騎士団の者ですね。
それで、どこへ?

Halver : ……近東の国アトルガンだ。

Curilla : アトルガン……

Curilla : 例の、傭兵キャラバンの国か?

Rahal : ……そうだ。
Curilla : くっ……。
道理で神殿騎士がいくら街中を
捜索しても見つからなかった訳だ……

Halver : クリルラ。前回
トリオン様がここを抜け出されたとき、
このようなことが二度となきよう
注意せよ、と命じたな?

Curilla : はい。
面目次第もございませぬ。
……私の不徳の致すところです。

Halver : わかっておるようだな。
この責任、いずれとってもらうことになろう。

Curilla : ハッ。

Curilla : ハルヴァー殿、1つ質問を……。

Curilla : トリオン様は、何故
そのような遠地に行かれていたのでしょうか?
かの国に何か思い入れでも……。

Halver : うむ。前聖皇ジャルザーン公が
まだ、ご健在であられた折、トリオン様は一度
アトルガンをご訪問されたことがあってな。

Halver : そのときの「事件」が
原因のひとつかも……

Curilla : ?

Halver : いや、今は
そのような昔話をしているときではないな。

Halver : この件、もはや我々だけで
判断できる問題ではなさそうだ。
急ぎ、国王様とピエージェ様のお耳にも
入れねばなるまい。

Halver : ピエージェ様!

Pieuje : 皆そろってどうした?

Pieuje : なるほど兄上らしい……。
尊敬されている戦王アシュファーグ公のお言葉
「論より走れ」そのままだな。

Halver : これが、トリオン様が書かれたと思しき
その書状にございます。

Halver : そこに控えるトラビアルスの話によって
だいぶ、解読できるようになったかと……

Halver : 解読には少々
お時間を要するかと……

Pieuje : それしきの解読作業に、
我が国の言語学者をかき集めるまでも
あるまい。……貸してみよ。

Pieuje : ……フッ。
今回だけは、兄上の先走った
行動が吉と出たかもしれん……。

Pieuje : 兄上はこう言っておられる。
アトルガンでは、近い将来……

Pieuje : クリスタル大戦に
匹敵する争乱がおこる恐れあり。
目を離すな……と。

Rahal : まさか!
いったい、あの地で何が起きようと……

Pieuje : ……かの地には、
獣人が皇国に攻め寄せる強力な原因が、
存在するそうだ。兄上の言葉を、
そのまま伝えるので、落ち着いて聞くがよい。

Pieuje : 「……故に、皇都を獣人どもが
つけ狙う主たる原因はただひとつ。
『魔笛』と呼ばれる宝物である。」

Pieuje : 「魔笛とは、
耳に聞こえぬ美しき旋律を奏で、」

Pieuje : 「人、獣人を問わず、
辺りにいる者すべてを、底知れぬ霊力で
包みこみ、陶然とさせるものであるらしい。」

Pieuje : 「当地では、その音色を乗せた風を
『星気の風』と呼び、ありがたがっている……」

Halver : ……トリオン様のご懸念が、
わかって参りました。

Rahal : 私も、同じにございます。

Pieuje : 皆、思うところ同じか……

Pieuje : ハルヴァーよ、
急ぎ3国へ使いを出すのだ。

Pieuje : 至急「臨時四国会談」の開催を
要請する、とな。

Halver : 御意。して、場所は?

Pieuje : ……そうだな。ジュノに
「オーロラ宮殿」の使用許可を要請してくれ。

Halver : かしこまりました。

Curilla : ……ピエージェ様。
トリオン様の件でございますが、
いかがいたしましょう。

Curilla : おそれながら、
真っ向から城抜けをお諌めしたところで、
聞き入れてくださるとは……。

Pieuje : フッ。そうだな。

Pieuje : 一国の継承者に、
いつまでも傭兵の真似事をされていては、
我が国の沽券にも関わる。

Pieuje : ……決めたぞ。
私から、兄上に書状を書くとしよう。

Curilla : 書状、でございますか?

Pieuje : ……あぁ。私に考えがある。

Pieuje : だれぞ、その書状を必ず皇都にて
兄上に手渡してもらいたいのだが……

Rahal : では、地理に明るい
このトラビアルスに届けさせましょう。

Pieuje : うむ。
トラビアルス、頼んだぞ。

Travialce : はっ、必ず。

Halver : ピエージェ様、
ここにおります[YourName]は、
はるばる近東よりトリオン様の書状を
届けた者にございます。

Pieuje : そうか。兄上は
軽率のきらいがあるが、人を見る目は確かだ。
信頼してよいだろう。

Pieuje : [YourName]。
遠路旅して疲れておろうが、
お前も臨時四国会談に出席してほしい。

Pieuje : そこで、お前の見聞したことを
報告してもらいたいのだ。期待しているぞ……。

Halver : 聞いてのとおりだ。
[YourName]よ。我らは
急ぎ開催準備を進める故……

Halver : 準備が整い次第、
おまえは先に出立し、ジュノへ向かうがよい。

Halver : まさか、な……。
私の杞憂であればよいが……。



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