| [9] ハーレムコンクルード 第一章 全面対決 ⑥ |
- 陣 - 2025年09月20日 (土) 23時04分
(それが始まりだったんだよな)
当然の事ながら、山麓朝の新国王となったシリウスの打った手の最初は、まず周辺の強化。 真っ先に手を打ったのが、初代以来、様々な因縁と宿縁を持っていたミラージュ家との縁組。
ミラージュ家としても、レナス家からの働き掛けが全く無かったわけではない。 しかしミラージュ家にも話を持ち掛けてきた時点で、レナス家には適当なタマは既になかった。最終的にカンタータ家に入るウェルキンなどでは、ラフェルの相手として年下過ぎ、またミラージュ家の力をウェルキンが得る事で、レナス家内部のパワーバランスを変えかねないという危惧もあった。 また年若い姫を使うとしても、三男四男が相手では、政略結婚の効果も薄い。
そこで最終的に勝ったのが山麓朝。シリウスの娘の王女シンドラは長兄のダモクレスとは年もほぼ同じであり、釣り合い的にも妥当と周囲の合意もしやすかったのだ。 だが同年としてむしろ厄介になったのが、その結果としてラフェルと縁組する事となった次兄のアンタレス。 年上のダモクレスや年下のオレステスやプリシウスとは異なり、同年にして武人としての修練を積んできた二人。当然にライバル意識も強く、嫡流出身の上に万能のラフェルに何をしても勝てなかった屈辱感と劣等感は、結婚しても拭えない。 義姉にもなったラフェルに以前から憧れていたオレステスなどにとっては理解し難いところだが、生来気位の高いアンタレスとしては、どうしても自分の方が婿になってしまう、その結婚の形自体が納得できない。よって周りが必死に説得と懇願までして、その自尊心を落ち着かせたくらいだったのだ。
そして遂に運命の日。歴史に残る「ラージングラード決起」の日がやって来る。
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