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[5] ハーレムコンクルード 第一章 全面対決 ②
陣 - 2025年09月20日 (土) 10時26分

「いたぞ! プリシウスだ!」

その声に、背筋を凍らせると共に、またしても不幸を感じざるを得ない少年。

(またかよ!?)

その声を背に、一斉に走り出す一行。

男というには繊細だが、女というには余りにも刺々しい声。この一年。少なくとも半数の日で聞かなかった声ではない。

ミラージュ城攻略南部方面軍指揮官クリエートの同母妹アイリーア。レナス本家の当主にして一族最高の猛将とまで呼ばれる、同母兄と同様、尋常ならざる気性の持ち主であり、「金色の猛禽」と呼ばれる少女女傑。
その掛け声には敵味方の双方が怖気を奮うとまで呼ばれるほど。大抵の男なら身動きすら出来なくなるだろう。
プリシウスがそうならずに済んでるのは、単にその上を行く大女傑のラフェルを日常的に見慣れているからに過ぎない。

彼女の役割は、プリシウスのような各城砦間の連絡担当を捉え、あるいは斬る事。

但しあくまで南部側の範囲内で。

「アイリーア様。見失いました」

「チ。これまでか。引き上げるよ」

「しかし。ここで見逃したらまたネメシス様が」

それに対し、右腕の指を指し示すアイリーア。その先にはドゴール家の家紋が付いた立札。

「よく見ろ。ここはもう姉上の管轄内だ。クリエート兄様直属の我らが勝手に動いたらまた何を言われるか」

「しかし。ここで見逃したらそれはそれで…」

「バカモン! こないだのを忘れたか! 行方が分からなくなったのをせっかく探してやったというのに! こっぴどく怒鳴られたではないか! 余計な事をしやがってとばかりに! あんな目に合わされるくらいなら、何をやってたと言われた方がマシだ!!」

「…」



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