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[15] ハーレムコンクルード 第一章 全面対決 ⑫
陣 - 2025年12月13日 (土) 20時18分

「そしてまたしても…」

事件は起こる。

オルディーンの新政権が発足して六年後。それまでも手詰まり気味だった、同政権に一大激震が走る。

それまでゴットリープにおいて幽閉されていた、前国王ギャナックが脱出。古都バーミアに走り、正統政権を宣言したのだ。

この間の事情についても、それぞれ様々な情報が錯綜して良く分からない。
とにかく未だにオルディーンの血筋を引く、ゴットリープ政権の公式発表としては「恩知らずのギャナック」という物。
要するに、助けてもらったのに逃げ出して反乱まで行うのは何事だというのが一番の重要で、それ以外は些事に過ぎないと言いたいらしい。
だからその脱出の際に何が起きたのか、どうして逃げられてしまったのかという説明について公式的には何も無いというに等しい。

それはとにかくバーミアに対する討伐軍が当然に組織されるが、それを指揮したのはオルディーンではなく、一番身近とされる義妹オルフェ。参謀であるゲリュオン大将軍もゴットリープでの留守居に。
当然に疑惑や懸念が生じるが、それも「辺境の討伐など陛下が出るまでもない」という論理で押し切る。

この時点において我らがミラージュ家はどうしていたか。
普通ならば、オルディーンに劣らぬ実戦での指揮統率経験を持つ、リフィル大公こそが代理の総指揮官になってもおかしくないというのが当然の衆目の一致。
だがあいにく当時は次男である後のプラクシス大公を出産したばかりで、体調はまだ回復しておらず、とても戦場まで赴く事は出来ない状態。それにバルザック派との確執を考えれば、たとえ参戦できたとしても指揮権が握れていたか定かではない。
結局、攻略に手間取る間に無理押しして援軍に加わるも、それまでに悪化した各方面からの圧力もあって遂に後退。

これが現在まで続く両朝分立の端緒になったのは誰でも知っている。

そして我らがミラージュ家が一貫して、ゴットリープの王朝の側に立ち続けてきた事も。



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