| [14] ハーレムコンクルード 第一章 全面対決 ⑪ |
- 陣 - 2025年11月09日 (日) 22時58分
(リフィル大公…)
ラフェルの手並に改めて感服しつつ、その頭上の肖像画を思わず見上げるプリシウス。
歴代のミラージュ領主の中においても、特に伝説化されている一大女傑。 現在の両朝対立時代の開始にも当たる時期にも位置していただけに、まさに直接の始祖と呼んでも過言でない。
それだけに様々な異名と逸話の持ち主であるが、特に有名なのは「幻のラルフィント大皇后」だろう。 これはミラージュ地方に伝わる見方だが、本来は統一されたラルフィント帝国の皇后になるべき人物だったという見方による。
本来は家督を継ぐ立場でなかったが、兄弟が早世した結果、女領主となる。 そのため異性関係など、その素行としては決して良かったとは言えない人物だったというのは、贔屓の一派でも認める所。だがそれすら美点になるくらいの器量と魅力の持ち主だった事は間違いないらしい。
関わった異性は数知れずだが、一番重要だったのは、やはり山麓朝の初代国王オルディーンだったのは誰もが認める所。 その即位の前に戦場でやり合った事もあるが、結果的には周辺の豪族をまとめ、その即位に最大の貢献を果たしている。 (もっともその功績を軽んじたがる他の地方の向きからは、単に勝ち馬に乗っただけとも言われるが、少なくとも地元民は信じない)
そして最大の役割となったのが、戦場での活躍に留まらず、オルディーンの二人の息子、ペルセウスとプラクシスまで産んだ事。 当時のオルディーンには正式の王妃はおらず、他の女たちとは子供が出来ない。そうなれば当然にリフィルが王妃になってもおかしくない。 だがオルディーンはそうはせず、それどころかペルセウスの出生を当初は隠す事すらした。これは彼自身の直接一番の支持基盤である、バルザック出身者たちへの配慮もあったとされる。これはオルディーン自身がバルザックの出身ではないため、彼らに別個の配慮が必要だったとも。
その一見理不尽な扱いに、肝心のリフィルがどう考えていたがは定かではない。 ただ彼女としては、ミラージュ領主としての立場をより重視しており、王妃の地位に特に拘ってはいなかったらしい。
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