| [13] ハーレムコンクルード 第一章 全面対決 ⑩ |
- 陣 - 2025年10月13日 (月) 09時46分
(そしてアレに…)
愛人問題も含め、城内での自分の立場が一向に向上しないのに業を煮やしたアンタレス。
遂に起死回生とばかりに、思い切った作戦を主張する。城の正面に展開するクリエート軍に対し、奇襲攻撃を行うべきだ。
外部のヘリオードからもたらされた情報によれば、レナス家は西方情勢の悪化から、出来るだけ早期のミラージュ攻略を望んでいる。その焦りに乗じて、こちらから仕掛けるべきだと。 それに対し冷静に反論するラフェル。それこそ相手の望むところだ。その情報がこちらにも伝わっている事は向こうも知っている。こちらから出てきた所を思い切り叩くのが狙いだと。
明らかに感情任せの押し問答が続いた上で、一応の決着が付く。アンタレスの手勢だけで行うのであれば構わないと。 それでは効果が薄いと、城全体の総指揮権を要求するアンタレス。それだけは駄目だと断じて譲らないラフェル。そして重臣一同。 結局はアンタレスの手勢だけで行う事となり、外部のヘリオードとの呼応のタイミングも一任される事となる。
(大丈夫ですか。アンタレス様)
(心配するな。ライシュ。始まってしまえばこっちの物だ。俺たちを見捨てたら城全体の戦力も減る。見殺しにはできまい。それに乗じてこのミラージュの指揮権も一気に握る。そうなればあの忌々しい女も始末して、お前こそが本当の妻だ)
そして当日夜半。
外部からのヘリオードの攻撃開始の確認と共に、一斉に飛び出すアンタレス隊。
勢い任せで深入りを続けるも、気が付けばダリアナとベルリアンヌの部隊に挟撃される危機に。
(城の動きは!?)
(動きは見えません!!)
(バカな!俺たちを見殺したらどうなる!?)
途端に、城の背後で立ち上る大音声!!
後で判明したが、ラフェル自ら指揮を執った別の部隊が、反対側のネメシス軍に奇襲を掛けたのだ。自分たちへの攻撃を想定せず、クリエート軍の支援に回ろうとしていた各隊は一気に背後を突かれる!
(あの女! 俺たちの犠牲の穴埋めを、そちらでする気か!!)
激怒で反転しようとするアンタレス。その前に立ち塞がるクリエート。
(降伏しろ。アンタレス。そうすれば俺の配下に加えてやる。今後の働き次第ではミラージュを任せてもいいぞ)
(なめるな! ガキが!)
逆上して挑みかかるアンタレス。しかしその途端、クリエートの両脇の少女二人が動き、それぞれに飛び道具を投げ付ける!
それが目と喉に刺さり、苦しむところをクリエートの剛刀が一閃。
戦いは終わった。
アンタレスの部隊は僅かとなるも、副官のライシュがまとめ、何とか城に帰還する。
損害は少なくなかったが、逆方向に対して行われたネメシス軍への攻撃は見事に成功。それによって同等以上の損害を与える事になり、戦力比は以前よりむしろ有利に。
また対照的な結果となった、クリエート軍とネメシス軍の軋轢はますます強くなり、ミラージュ城への攻撃は停滞の一途を辿る事となる。
そして城内では、未亡人になったラフェルと留守役を務めたオレステスの関係はますます公然化。同時にアンタレスの旧部下たちは勢力を低めるものの、その分だけ怨念を強めていく事となる。

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