
(郵便局
郵便局の窓口で僕は故郷への手紙を書いた
鴉のやうに零落して
靴も運命も擦り切れちゃった
煤煙は空に曇って
けふもまだ職業は見つからない
父上よ
何が人生について残っているのか。
僕は悲しい虚無感から貧しい財布の底をかぞへて見た
すべての人生を銅貨にかへて
道路に叩きつけた。
故郷よ
老いたまへる父上よ。
僕は港の方へ行かう
空気のやうにさうらうとして
波止場のの憂鬱な道を行かう
人生よ
僕は出帆する汽船の上で
笛の吠え叫ぶ響をきいた。
以上が・・愛読する(萩原朔太郎)の詩集
郵便局 と言う詩です。
2011年09月22日 (木) 20時03分
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