まさか再び、このシリーズを書くことになるとは。
いつもより早く帰れた今日。いつものように「流山インターで降りて欲しい」ことを伝え、運転手はそれを了承した。
順調だった。それが一変した。
見慣れない景色が。
40分間常に道をチェックしているわけじゃないので、視線を落とすことは当然ある。その隙に、道を間違えられたのだ。
「これ流山に向かってないですよね?」自分もまだ、半信半疑。
「あ!スイマセン、八潮で降りてしまいました」
意味が分からない。三郷や柏で降りたというならまだしも、なぜ、八潮で降りたのかが分からない。
でも、まだこのときは、間違いに早い段階で気づけたことに安心していた。
「どこで(高速に)乗ればいいですか?」
「知りませんよ!」
でた、「客がどこからでも帰り道を知っている」という大きな勘違い。そして、私が大嫌いな、あのセリフが。
「家の住所教えていただけますか?」
これは自分だけじゃないと既に裏づけしているが、「道を間違えるような運転手にすんなり自宅の住所を教える客は、まずいない」。
「高速戻ればいいじゃないですか」そう言って戻らせた。
それから暫くかかって元のルートに復帰。すでに早く帰れた時間分はロスしている。追い討ちをかけるような、運転手の突然の言葉。
「いつもいくらかかりますか?」
これもよくある言葉だ。でも、腹が立っていたし、事実、かかる金額には日によって幅がある。なので、
「着いてから言います」と答えた。
すると、予想しなかったリターンが。
「すいません、恐縮ですが着いてからではなく、いま教えていただけませんでしょうか?」
はあ〜〜〜?キレる寸前。でもここはぐっとこらえて、
「1万4000円くらいです」
・・・それから、暫く運転手は発言も行動も一切しなかった。「ただ知りたかっただけ」そうなんだと思った。改めて、客よりも自分のことを考える勝手な人たちだと思った。しかししかし、この段階ではまだ『タクシー運転手に不満』レベルである。それが目に見える怒りに変わったのは、高速を降りてからのこと。
運転手がおもむろに減速を始めた。ナニナニ!?なんで!?
「すみませんがお客様!一度メータを止めてよろしいでしょうか?」
カッチーン!!!ついにキレた。
「知りませんよそんなこと!!!そんないいのか悪いのかも分からないことに『はい』とか『いいえ』とか答えられるわけないでしょう!!!いいから先へ走らせてください!!!そんなタクシーメーターどうのこうのは後で勝手に調整してくださいよ!!!」う〜ん、自分でお金を払ってないからこそ言える言葉・・・。運転手がすかさず反抗。
「あとで勝手に調整できないんです〜」
もうどうにでもなれと思った。怒りを呆れが追い抜いていった。
車はいったん停まり、暫くメーターを再起動させる作業があって、ようやくまた走り出した。道を指示するのがいやなことといったらない。
最後、電卓で必死に(時間かけて)手計算し、計算が合わない数字を言ってくるというおまけもしっかりついたが、本当、勘弁して欲しい。
常々、タクシー運転手は客を目的地に送り届けるプロであるので、最初から知らないと言うならまだしも、道間違いはあってはならないと思っている。もちろん電車やバスのように決まった道を行くのとはハードルが違うのは分かっている。でもそれがタクシー運転手のプロたる所以だと思っている。
今回のミスをテレビ屋に例えるなら、「さっきあそこ間違えちゃったんで、もう一回そこから放送し直していいですか?以降の番組全部遅れますけど」と言っているようなものだ。それくらいあってはならないミスだということを認識して欲しい。
そして、せめて、事が起こってしまった後くらい、発言には細心の注意を払ってほしい。
それが、『プロのタクシー運転手のマナー』。