2003年の鹿児島の県議会議員選挙で候補者からお金をもらったとして公職選挙法違反で逮捕をされた人たちが、「12人(13人)全員が無罪」となった前代未聞の冤罪事件。誤認逮捕というのなら誤って罪のない人が逮捕されたということだが、今回は誤認逮捕をこえて「でっち上げ捜査」だということが際立って異様なのである。
事件の詳細や、「あらゆる可能性」、今後の展開については言及を避けるが、3年近く報道の仕事をしていて、これほど心を動かされたのは尼崎の事故以来だといっていい。しかも尼崎に関していえば自分が現地に入ったことや列車事故に個人的な思いがあるということがある。だから、純粋にひとつの出来事として衝撃を受けたのはこれが最大なのかもしれない。
警察は謝罪をするだろう。ただ、それは「捜査が甘かったこと」や「精神的苦痛を与えたこと」に関する謝罪であり、「事件をでっち上げたこと」に関する謝罪ではないだろう。そして、警察が事件のねつ造に関して追求されることは、NNN系列からはあっても、被害者が国と県を相手に国家賠償請求を起こしても、警察から捜査の対象にされることはないだろう。
「犯罪を作った」という犯罪。徹底的に追求していかなければならない。警察の点数稼ぎのために何もしていない人が犯罪者に仕立て上げられてしまう恐ろしさ、言うまでもないがあってはならない。
事の顛末をご存じない方は是非、ちょっと調べてみていただきたい。どれほど異例なことかがお分かりいただけると思う。「事件に大きい小さいはない」と頭で理解しようと思っても、これは異常としか言いようがない。これほど憤りを覚える事件は、他にない。