ドストエフスキーの「情報・意見」交換ボード
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[789] 2025/08/07/(Thu)19:52:09
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(28)
本文   ※追記更新 25/08/07 20:30

登場人物が過去に何らかの屈辱や虐げを受けていて、それを健気(けなげ)に忘れ去ろうとしてきたが、無意識の中に蟠(わだかま)って潜伏していたその心の傷が、ある時不意に突発して相手や世間への報復の行動を取ったりするケースが見られること。


『永遠の夫』
(トルソツキー)
『未成年』
(アルカージー、マカール老人)
『白痴』
(ナスターシャ‐フィリポヴナ、イポリート)
『カラ兄弟』
(グルーシェンカ、スネギリョフ二等大尉、
イリューシャ、スメルジャコフ)
『地下室の手記』
(私)
などに、それが見られる。

ドストエフスキーの小説のすぐれた理解者であったアンドレ・ジイドは、この点について、

ドストエフスキーの人物の多くを、あれほど不安な、あれほど病的なまでに奇怪なものに見えさせる性格上の奇形、偏奇のうちで、その源を過去に受けた或(あ)る屈辱に発していないものは一つとしてない、と私は思うのである。

と述べている。
  
[788] 2025/08/03/(Sun)20:57:27
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(27)
本文
小説では、主人公が登場し、騒動を起こし、破滅的な、または、悲劇的な、または、更正を暗示していく結末を迎えていくこと


『白痴』のムイシュキン公爵も、この例に漏れない。作者は、主人公に、問題のある性格を付与することで、実験的に、批判的にその帰結を描いていく。
    
[787] 2025/07/31/(Thu)17:42:54
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(26)
本文    
登場人物の家庭環境(家族構成)や生い立ちの設定や説明が作中で行われていること


ドストエフスキーは、人の人間形成は、家庭環境や生い立ちによることが多いと洞察していたので、『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』と、主人公の家庭環境の設定や紹介には、父親の不在・在など、かなり、意(い)を用いている。
たとえば、『悪霊』では、父親の不在、ステパン氏による家庭教育という点がスタヴローギンに与えた影響を読み取ることができるだろう。ピョートルについても、同様のことが言える。
   
[786] 2025/07/27/(Sun)16:46:12
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(25)
本文    
主な小説では、主な登場人物が受ける受難・試煉を通しての彼らの更正・成長を描いていること


『カラマーゾフの兄弟』のドミートリイ、アリョーシャ、イヴァン、『罪と罰』のラスコーリニコフ、などで、女性が寄り添う形で、そう描かれている。

なお、『悪霊』『白痴』では、無神論的な登場人物の破滅への進行が印象的だ。『悪霊』では、ピョートルやシャートフなどは別格として、『白痴』では、ムイシュキン公爵、ナスターシャ‐フィリポヴナは、悲劇に至る人物として、その末路が描かれている。
    
[785] 2025/07/23/(Wed)20:10:20
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの重要な事跡(11)
本文   ※追記更新 25/07/25 20:20


学生時代から、本国・欧米の文学作品に親しみ、彼らの作品は、氏の作品の題材になり、かつ、氏の生き様に良い影響を与えたこと


特に、シェークスピア、ゲーテ、バルザック、プーシキン、ディケンズ、ジョルジュ・サンドは、陽気さ快活さを失わない・情熱を持って行う・前向きな姿勢で生きる・節度や良き生活習慣を重んじるなど、氏の生き方に良き影響を与えた。(ただし、バルザックにならったものとして、コーヒーの飲み過ぎ、夜通しの仕事などは、氏の健康を害する一因となったようだ。)
   
[784] 2025/07/20/(Sun)21:23:01
名前 Seigo
タイトル 身近に文庫本化・電子本化している作品
本文 復刊が長く待望されていた、

 江川卓訳『カラマーゾフの兄弟』
  (集英社の世界文学全集の巻として
   1975年・1979年に刊行されていたもの。)

が中央公論社から文庫本として先月から刊行が始まりました。ドストエフスキーの読者には喜ばしいことです。
市販中の文庫本として手短に読めるということで、江川氏らしく語注も数多く付されていて、重宝できます。

そのほか、

・『スチェパンチコヴォ村とその住人』
・『伯父様の夢』
・『ネートチカ・ネズワーノワ』
・『家主の妻』
・『他人の妻とベッドの下の夫』
・『九通の手紙からなる小説』
・『いまわしい話』

などの中期・前期の中編小説も、近年、文庫本・電子本として、刊行・市販されています。

一方、

・『プロハルチン氏』
・『正直な泥棒』
・『ペテルブルク年代記』
・『ペテルブルクの夢』
・『冬に記す夏の印象』

など、いまだ全集の巻でしか読めない短編・中編もあります。

      

   
[783] 2025/07/17/(Thu)17:25:50
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの重要な事跡(10)
本文     
生涯、持病のてんかんの発作に苦しめられたが、後半生は、アンナ夫人の看護もあって、創作にも支障をきたすその苦難を乗り越えて、『白痴』『悪霊』などの小説を完成させていったこと。


几帳面で整理整頓を重んじるてんかん体質は氏の生活にプラスになったに違いないことに注目したい。

てんかんの発作前には意識や感覚が高揚したことは、貴重な体験だったと思う。聖なる病とみなしての自負もあっただろう。

なお、周知の通り、てんかんの発作のことは、『白痴』『カラマーゾフの兄弟』の大事な場面において使われている。
     
[782] 2025/07/09/(Wed)19:17:03
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーから得た考えや教え(11)
本文   ※追記更新:25/07/12 13:00

「愛なしにはなにも認識できない。愛によって多くのものを認識できる。」
(メモノートより。)


「あばたもえくぼ」「親の欲目」はともかくも、対象への愛の態度があってこそ、対象をよく認識し、理解し、知っていくことができると述べていて、大いに教えられた言葉だ。
    
     
[781] 2025/07/05/(Sat)15:18:52
名前 Seigo
タイトル 『地下室の手記』の主人公の考えのこと
本文   ※追記更新 25/07/07 18:30

『地下室の手記』は、前半部の主人公が独白で述べる人間の行動論・性格論が面白い。

意識過剰で、考えてばかりいる人間は自分の性格や行動を見失ってしまうと主人公は言っている。

一貫性や行動力を持つためには、基準や習慣を固めていくことが大事になってくるように思う。
  
   
[780] 2025/07/02/(Wed)17:51:35
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの重要な事跡(9)
本文  ※追記更新 25/07/02 20:22
  
シベリア流刑の途次、聖書を得て、以後、聖書を座右の書として、聖書に親しんだこと。


このことは、

1、キリスト・神への信仰、愛や受難をめぐる教えをもたらし、氏の生きていく上での大事な支えとなった。

2、聖書の中に現れる人物や人物の配置、聖句を氏の作品中に用いることをもたらした。
      
  




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