ドストエフスキーの「情報・意見」交換ボード
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[739] 2025/03/08/(Sat)10:54:04
名前 Seigo
タイトル 社会科学系の学者・ジャーナリストのドストエフスキー論
本文   ※追記更新 25/03/08 16:40

社会科学系の学者・ジャーナリストのドストエフスキー論としては、次のぶんが面白い。

〇勝田吉太郎氏の論
[『ドストエフスキー』]
社会における個人の自由と権力者の統制の観点から『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を中心に論じている。特に大審問官という人物に関する論には感銘を受けました。( )

〇井上茂信氏の論
[『ドストエフスキーと共産主義』]
共産主義の行く末をすでに鋭く洞察・批判していたドストエフスキーの立場やゾシマ長老の教えを詳しく論じている。

〇河原宏氏の論
[『ドストエフスキーとマルクス』]
マルクスに欠けていた神と宗教の問題をドストエフスキーの思想を通して論じている。

〇作田啓一氏の論
[『ドストエフスキーの世界』 
『個人主義の運命 ― 近代小説と社会学』]
後者の書では、個体我(独立我)の自己-自己、社会我の自己-社会のほかに、超個体我の自己-神という関係をドストエフスキーは導入したとする指摘には注目しました。( )
『白痴』を読んで世界が逆さまに見えたなどのドストエフスキー体験に関しては、自分はいまだよくわかりません。

〇森和朗氏の論
[『ドストエフスキー 闇からの啓示』]
上書では、現代科学技術文明・現代社会の状況に関する予言的洞察を示したドストエフスキーの言説を引用しつつ、現代社会に鋭い批判のメスを入れている。( )

  

  

  
            
[738] 2025/03/05/(Wed)20:10:18
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(20)
本文   ※追記更新 25/03/08 16:46

ドストエフスキーの小説の特徴というか、ドストエフスキーの小説の良さは、登場人物がよく描かれている点にある。

初期の作品から、そうであり、最後の『カラマーゾフの兄弟』では、各々の登場人物が円熟した造型になっている。

そして、どんな悪玉の登場人物であっても、どんなダメ人間の登場人物であっても、その人物の良さを垣間見(かいまみ)せていくことを作者は忘れていない。

以上のような点は、登場人物のどのような描き方からくるのか、ぜひ知りたく思う。

たとえば、各登場人物が自分の思いの丈(たけ)を述べていくところなどにそれが感じられるように思うが、そこには、作者のその登場人物への愛着愛情があり、大なり小なり作者の何らかの分身が入(はい)っているということかもしれない。


ドストエーフスキーが、フョードルを扱う筆には常に愛がみなぎっている。われわれはフョードルの行動や言葉の中にいいしれぬほほえみを感ずる。この人物こそまさにたぐいまれなる芸術品と言いうるであろう。
[本間三郎著『「カラマーゾフの兄弟」について』より。]
     

[ロシア映画「カラマーゾフの兄弟」のフョードルとアリョーシャ]
      
[737] 2025/03/03/(Mon)21:00:30
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(19)
本文 人間や社会の暗部を描きながらも、作中には、明の部分や光(救い)の方向を大なり小なり設けることを作者は忘れていない。

ほとんどの作品がそうであり、最も救いがたいほどの暗部が多い『悪霊』や『死の家の記録』においても、それは見られる。

ドストエフスキーの文学の良さはこのあたりのことにあると言えるだろう。

各作品に、そういった部分をもっと読み取っていきたい。


[旧表紙の新潮文庫『悪霊』]
    
[736] 2025/03/01/(Sat)12:41:49
名前 Seigo
タイトル 「美なるものが世界を救う」について
本文 『白痴』においてムイシュキン公爵が言ったとされている「美なるものが世界を救う」について解釈したものがYouTubeのショート動画にあり、注目しました。 → こちら

自分はこの言葉で言う美を、女性の美貌や自然の美しさや芸術家が描く美などを中心に理解していたのですが、人の愛や善意といった人の心の美しさが世界を救うという上のコメントの捉え方には大いに感心した次第です。

ドストエフスキーがアリョーシャやムイシュキン公爵やソーニャの造形に込めた思いをあらためて感じ取りたいと思う。
      
[735] 2025/02/25/(Tue)20:51:17
名前 Seigo
タイトル 江川卓訳『カラマーゾフの兄弟』の復刊(文庫化)を願う
本文 江川卓訳『カラマーゾフの兄弟』の復刊は、私も願っていることです。

当訳は、いろんな点で優秀なのですが、過去に、集英社の世界文学全集で二種ほど刊行されましたが、それらは、今は、絶版になって、稀少の古書か図書館のぶんで入手しなければなりません。

サイト「復刊ドットコム」は、氏の『カラマーゾフの兄弟』の訳の良さに注目して、以前から、復刊賛同の声を募り、復刊に向けて運動をしています。→ こちら

できれば、文庫本で復刊してもらいたい。
主な出版社ではすでに『カラマーゾフの兄弟』は文庫本で現在も書店に並んでいますから、刊行元の集英社さんか、この前、望月哲男さんの訳で『白痴』の新訳を出した河出文庫さんがよいのではないでしょうか?

[734] 2025/02/22/(Sat)14:03:36
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの概説のこと
本文   ※追記更新 25/02/23 11:23

ドストエフスキーの概説については、百科事典に掲載の、

・江川卓氏のぶん(こちら)

・中村健之介氏のぶん(こちら ※真ん中あたりにあり。)

が、比較的長文で、独自の見解も少々打ち出されているが、内容は無難だと思う。


ウイキペディアのぶんも、いろいろと無難に参考になるが、アンサイクロペディアのぶん(こちら)は、皮肉と諧謔(かいぎゃく)が効(き)いている。


出版社の記述では、以前挙げた通り、光文社編集部のぶん(こちら)が短文ながら鋭い。


なお、当ページでは、当初より、こちらにまとめている。自分なりに今後も更新を続けて記述内容を深めていきたい。
   
[733] 2025/02/19/(Wed)20:00:16
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキー関連のネット上の動画や記事をリンク
本文   追記更新 25/02/20 19:23

以前ネット上のドストエフスキー関連のめぼしい記事を一部リンクさせていたコーナーを設けていましたが、考えがあって後に外しています。
最近、ネット上のそういった記事や動画で目に付くものがあり、そのコーナーをコーナー「リンク」内に復活させました。 → こちら
今後、随時、追加してリンクしていく予定です。

その中でも、『罪と罰』をめぐっての意見交換の中での作家石田衣良氏のドストエフスキーについての率直な発言には注目しました。→ こちら


そのほかとして、人文系方面以外のぶんも含めて、各分野の本、各分野のページに関しても、最近、〈その他のコーナー〉内に
  コーナー「各分野の本
  コーナー「各分野のページ
を設けて、その蓄積を始めたところです。
      
[732] 2025/02/17/(Mon)19:56:47
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説の特徴(18)
本文 ドストエフスキーの小説の特徴として、描写の面で、作中に自然や風景の描写が少ないということが言えるだろう。

登場人物が落ち合った部屋で長く会話をする屋内の場面が多くて、作者の関心と注意はその会話に集中している、ということでもある。
   
[731] 2025/02/15/(Sat)16:56:28
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーと苦悩
本文   ※追記更新 25/02/15 17:10

当ボードで以前、ドストエフスキーの苦悩観についてほのかさんと意見が対立したことがあったが、苦悩の経験も数多かったドストエフスキーは、人の生における苦悩のことや苦悩の価値や意義について、生涯にわたって考えを深めていった人だと、あらためて思う。

その作品にも、『罪と罰』におけるラスコーリニコフの苦悩、『カラ兄弟』における受難で被る大きな苦痛に対するドミートリイの覚悟の絶唱(こちら)をはじめ、苦悩についての言及がしばしば見られる。(その他として、こちらなど。)

ドストエフスキーがついに至った苦悩の秘儀と言うべきものを知ることができたらと思う。
   
[730] 2025/02/12/(Wed)20:44:31
名前 Seigo
タイトル ドストエフスキーの小説のこれまでの邦訳のこと
本文   ※追記更新:25/02/13 07:20

これまでのドストエフスキーの小説の邦訳については、自分としては、米川正夫氏の訳と江川卓氏の訳が、やはり、よいと今でも思う。

米川氏の訳は、たしかに文語調・漢語調の言い回しや語彙を使っていて、そういった表現に慣れてない人にとっては読むのに骨が折れる箇所が少なからずあるけれど、各登場人物の話す言葉をそれぞれにふさわしい口調や表記(『悪霊』のステパン氏の言葉など)にしていることをはじめ、そのぶん、その訳文には格調や奥行きや味わいが生じている。

江川氏の訳は、やや荒削りの傾向があるが、とりわけ、『罪と罰』『地下室の手記』の訳などは、当時の社会の雰囲気や登場人物の息づかいなどが生々しく伝わってくる訳文であり、自分にとっては好みの文体だ。旺文社文庫『罪と罰』にはシマリノフの挿し絵があり、よかった。

亀山郁夫氏、原卓也氏、小沼文彦氏、工藤精一郎氏をはじめ、他の知られた訳業は、中性的と言うか、現代の日本人には読みやすい平明な無難な文章になっていて、それなりに良いと思うが、米川氏や江川氏のようなドストエフスキーの小説の世界をよく伝えていく工夫された個性的な文体文章になっていないことによって、逆に、伝わる内容がやや薄っぺらになっているような感じがする。

自分は、初めに米川氏と江川氏の訳文で読むことによりドストエフスキーの小説の世界を肌で感じ取ることができ、身にしみ込んだその余韻が今も続いていることを幸運に思う。今後も、米川氏と江川氏の訳文でドストエフスキーの小説に親しんでいくことになるだろう。
      

[河出書房の決定版世界文學全集の巻11『カラマーゾフの兄弟』(米川正夫訳)] 


[旺文社文庫『罪と罰』(江川卓訳)]


[旺文社文庫『罪と罰』(江川卓訳)の挿し絵(画:シマリノフ)]
      




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