[4379] 親元にいるほうが結婚するよりラク |
- big - 2013年03月27日 (水) 23時36分
少子化の原因は、きわめて明解です。結婚しない人が増えたから、生まれる子供の数も少なくなった。ではなぜ、結婚しない人が増えたのか。大きな原因は3つ。これらが絡み合った結果とみています。 ひとつは、男性の収入で結婚後の生活費を賄うべきという意識が日本ではまだ強いこと。
ふたつめは、その生活を担うべき若い男性の収入が、不安定、そして低下していること。
3つめは、親と同居しているパラサイトシングルの女性が多く、いつまでも結婚を待つことができてしまうことですね
と、社会学者の山田昌弘中央大学教授はいう、
結婚後の経済を男性にゆだねたいが、それを引き受けられるだけの安定した収入がある男性は減っている。一方、未婚の女性たちをいくつになっても引き受けてくれる「実家」という受け皿は経済的に安定。その結果、結婚しない女性は増えていく。
まず、若い男性の収入の低下 日本の女性は、収入や雇用が不安定な男性と結婚したがらない。結婚できる男性の収入の分岐点をあらわす“300万の壁”“400万の壁”という言葉もあるように、少なくとも年収300万円以下の人と結婚しようという女性は少ない。昔は“最低1000万円”という女性も多くいましたが、もうそんなことは言っていられないことは理解している。それなのに、その300万、400万円の年収さえ、クリアできる男性は減っている
考えてみれば、若者の平均年収が減っているのは日本だけではない。 ただし、欧米では少し事情が変わる。 欧米でも、若者の収入は日本と同じように減っていると言われています。でも、収入低下が結婚を思いとどまらせるのではなく、かえって結婚を増やしている
理由はこうだ。欧米は南欧諸国をのぞいて、独身男女のほとんどが独り暮らし。ひとりで生活するのが苦しいから、結婚や同棲で一緒になって、食費、住宅費、光熱費などをシェアしようということになる。
一方、日本や韓国や台湾、イタリア、スペインなどは、独身者が親と同居している率が高い。だから結婚しなくても生活できる。
「収入の低い男性と結婚するより、収入の高い親と住んでいたほうがいいと思ってしまう。これが私のパラサイトシングル説です」
実際、成人しても独り暮らしをせず、親と同居する独身者の率は、近年、急激に高くなっている。とくに増加しているのは、男性独身者の同居率だ。20歳以上の男性の独り暮らし率は、20年前は4割だったものが、今では2割に。
学生が一時的に、親元を離れてする独り暮らしを入れても、男女とも独身者のなかで、独り暮らしをしている人は、たった2割しかいないんです。女性は、昔から独身の間は親元で暮らすのが普通でしたから、独り暮らし率としては、ずっと2割と変わっていない。
ただし、かつて親と同居する女性は20代がほとんどだったのに対して、今は親と同居している30〜40代のシングル女性が増えている。割合は変わっていないものの、未婚者の総数、つまり分母が増えたため、数は増えている。それに比べて男性は、未婚者の総数も増えているうえ、親と同居する率も高まっています。
独身でいるとは、なんて贅沢な。欧米ではそんな認識が一般的だという。それは、独身者はお金のかかる独り暮らしをしなければいけないから。かたや現代日本では、お金をかけずに独身を続けられる「パラサイト」=親に寄生するという裏技がある。そしてこれが、未婚率上昇の原因のひとつになっているのではないか。
ちなみに、2000年の総務省「国勢調査」によれば、親族と同居する20代・30代の未婚者は、男性が約651.2万人、女性が約568.6万人である。

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