[4310] 真夏のジャズ |
- big - 2012年07月30日 (月) 00時01分
マイルスほど偉大な音楽家がロックの歴史に存在したか。アルバムごとにまったく違う世界観を提示し、生涯を通して自分に纏わりつく固定概念を打破し続けた天才トランぺッター。ピカソ、手塚、ゴダール....人類史に残るアーティストでさえ、繰り返しを強いられた年月があるものだ。
しかし、マイルス・デイビスにはそういった停滞が一年もない。常に進化することを止めなかった男、それが帝王マイルスだ。
サルサのルーツにはジャズのDNAがしっかりと刻まれている。 って我田引水もいいところかな。
アートのアートたる所以は、陰影を生み出す事にあると思う。 サルサがそこはかとなく漂わす哀愁は、灼熱の太陽に表象される輝く生と それと対比されるやがて訪れる夕闇。さらには夜のとばり。 つまりは死を表していることに、その端を発しているのではないか。
輝きは、陰が深ければ深いほど、眩しい。 闇は、光芒が強ければ強いほど、漆黒の闇となる。
死。自らの肉体が滅び無となってしまうことに恐怖をいだくのが人だとすれば、マイルスは、死でさえ、この世で行きることの 苦しみの、慰撫の対象にかえてしまう。
生きているからこそ**(確認後掲載)る。死ぬのが怖いのは、一度死んだら二度と**(確認後掲載)ないから。 そんなジョークをトランペットの哲学的とも言える音色は語っているような気がする。
限りなく透明で清浄な世界への誘い。宗教的な世界と言い換えてもいいかもしれない。
| |