お弁当をレンジであたためたらプチトマト入ってて、中の果汁でやけどしたことあるヨシです(^_^)-c<^_^;)
一昔前のニューヨークで、ある話題が持ちきりになりました。
それは、綱渡りの名人が摩天楼の先端と先端にロープを張り、
そこを渡ろうと言うのです。
もちろん命綱もなく、万一を考えた安全ネットもありません。
バランス棒一つを頼りに命がけの綱渡り。通りには露店が並びました。
オフイス街は仕事も休み、勇敢な男の世紀のショーを見物する事になりました。
囃す人、危険だから止めろと言う人、
中には、彼が転落して落ちるかどうか「賭けをする」者まで出ました。
高層ビルの窓という窓は人の顔で埋まり、
いよいよ彼の一世一代のショーが始まりました。
ゆっくりと彼の足がロープの端にかかりました。
長いロープは上空を吹く風に揺れています。
人々は固唾をのみ、上空の彼を見つめました。
彼はしばらく調子を整えていましたが、一歩そして一歩と進み始めました。
彼の姿が揺れる度に、見物人の悲鳴、かけ声、ヤジなどが飛び交い騒然となりました。
彼の成功を信じる者もいましたが、
きっと転落して死ぬだろうと、大勢の人は思いました。
警察から手配された担架まで下には用意されていました。
しかし彼は大方の予想に反して、見事上空に張られたロープを渡りきりました。
人々は大喝采しました。
彼の勇気と見事な足さばきに驚嘆しました。
彼が上空から下に降りるまで、拍手が続きビルの窓から紙吹雪が舞いました。
下に降りた彼に記者がインタビューしました。
「素晴らしい、今まで失敗した事はないのですか」
「失敗していたら、私は此処にはいません」
「私はどんなに高い処でも平気です、渡りきる自信はありました」
群衆は褒めちぎりました。
「君は大した男だ」
「きっと成功すると信じていた」
「そうだ成功すると確信していた」
大勢の人々の間から「君の成功は確信していた」と言う言葉が飛び交いました。
そこで彼は群衆に向かって言いました。
「皆さん、私を信じてくれてありがとう」
「お礼に、もう一度あのロープを渡って見せましょう」
「今度は、信じてくれた皆さんの中の一人を背中におぶって渡ります」
「どなたか私の背中に乗る人はいませんか?」
それまで囃し立てていた人達は黙ってしまいました。
「皆さんは私が渡り切れると信じておられたのではないですか?」
だれ一人彼の背に乗ろうとする者は現れません。
そのとき群衆の最前列にいた少年が出て来て言いました。
「ほくが乗るよ」
人々は驚きました。
そして二度目の挑戦は、その少年を肩車して摩天楼に張られたロープを渡る事になりました。
上空は先ほどにも増して風が強くなっていました。
人々は、今度こそ落ちてしまうのではと心で思いました。
しかし少年はニコニコして彼の肩に乗っています。
人々の思いに反して、彼と少年は見事に二度目のロープ渡りを成功して地上に降りて来ました。
群衆は先ほどにも増して、大きな拍手で彼らを迎えました。
しかし今度は彼を誉める以上に、肩に乗ってロープを渡った少年を誉めたたえました。
「なんて勇敢な少年なんだ!」
「本当だ、すごい少年だ!」
口々に感嘆と誉め言葉が溢れました。
先ほどの記者が少年に尋ねました。
「君の勇気はすごい、怖くなかったかい」
少年は笑顔で答えました。
「ウン。ちっとも怖くなかったよ、ぼく信じているもの。」
「だって、ほくのパパだもの!」
彼は少年の父親だったのです。
群衆は口では「信じる」と囃し立てましたが、心は「半信半疑」でした。
しかしこの少年は、父親である彼をよく知っていました。
そして本当に信じていました。
疑う心がなかったため、恐怖や不安がなく、笑顔で彼の肩に乗ってロープを渡る事が出来ました。