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[72] 題名:黒衣の貴婦人I(3) 名前:XXX MAIL URL 投稿日:2023年02月20日 (月) 14時03分
豊満な熟女の肉体を引き寄せて、口づけを解いた唇を怜子の耳元へと寄せて囁いた。
「それに。このホテル、Sホテルの系列でしょう。僕らにとって記念すべき“あの夜”を思い出さずにはいられませんよ」
自分の密かな甘い思惑を見透かされていたことに羞恥を感じる一方で、それにも増して怜子はこの若男と相通じていることに悦びを禁じ得なかった。
隣に座る志藤の股間部分をズボンの上から弄ると、既に膨張を感じた。
志藤もまた、怜子の艶かしい曲線に手をかける。引き締まった腰回りの肉付きに、今でも時間を見つけては続けているジム通いの成果を感じて。その殊勝な努力を讃するように優しいタッチで愛撫する。“主”の無言の褒賞に、女はいっそう身体を密着させた。
含んだ酒を口移しに与えられれば、怜子の官能に火が点く。我慢しきれなくなったかのように、隣に腰かけたまま上体を倒して、股間部分に顔を埋めた。
ゆっくりとベルトを外して、現れ出たボクサー・ブリーフ。薄布一枚を突き破らんばかりの膨らみを愛おしそうに優しく撫で回す。深い呼吸をして臭気を吸い込む。下着の上から接吻し、布地に浮かび上がる隆起に唇を被せる。志藤の白いボクサー・ブリーフには紅いルージュの色が移って滲んだ。
「ねえ、いい?いいでしょう?」
“許可”の求めに主が頷きを返すと、ゆっくりと下着をずらす。勢いよく跳ね上がった巨大な牡根が圧倒的な存在感を放った。逞しい男のシンヴォル。
「ああ…なんて男らしいの」
もう見慣れたそれであるにも関わらず。毎度のごとく、ため息とともに漏らす科白。うっとりとした眼差しを向け、愛を誓うかのように口づけをした。
“ああ…”と蕩けるような声を零して、じっくりと蒸れた臭いを味わって、唇を被せていく。
日中から夜にかけて、そして一晩中、愛する男を独り占めできるという心の余裕がそうさせたのだろうか。普段の行為では逸りがちな怜子には珍しい、ゆっくりじっくりとした口淫が続く。
志藤は格別の奉仕を受けながら美酒を味わうという、贅沢を極めた時間を堪能する。その奉仕を授けるのは、日頃は自身が築いた栄ある王国に君臨し、従えた家臣たちの尊敬と羨望を集める美貌の“女王”なのだ。
そこへ自分のような、どこの馬の骨かわからない輩が土足で上がり込んで、“信者”が崇拝する女王を密かにモノにしたのだ。須崎怜子という女性が淫らな奉仕に耽るのを視認するのは、たとえそれが何度目であっても、常にこの悪辣な若者の征服感を満たすのだった。
咥え込みは浅い位置で。近頃の定番となった、はしたなく汚らしい嗚咽音も立てず。ひたすらに、そして懇ろにその舌をゆっくりと肉棒に這わせて、丹念に唾液を塗りこめていく。玉袋の辺りから裏筋へと丁寧に舐め上げて。亀頭を舌で舐め回したかと思えば口を離して、テラテラと淫猥な輝きを放つそれに、“秘宝”を眺めるかの如くうっとりとした視線を向ける。
咥え込んだ男茎が完全なる硬さを持ち始めると、やがて先端から先走りの汁が染み出し始めた。その味の変化を感じ取ると、鈴口に口づけしてジュッと吸い上げる。
「すごく…硬いわ」
「先週以来、社長とも英理ともしていませんからね」
早朝から出張に行くということになっていた以上、昨夜、怜子は志藤を“夜の誘い”をかけることはできなかった。
いくら怜子が偽装工作をしようと、自分が不在の間、何らかの方法で怜子と志藤が合流してカラダを重ねることは、英理も当然に想像していたことだろう。
ならば、怜子の“アリバイ作り”を逆手に取って。自らの口実と行動を一致させようとする怜子の弱みにつけ込んで、昨晩のうちに英理が可能な限り志藤の精を吸い尽くしてしまわないかが怜子の大きな懸念であった。
もちろん、そんなハードな行為は英理自身の“旅行”のスケジュールを台無しにする可能性があったし、怜子の知る限り、英理の体力ではそんなこと不可能なことくらいわかっていた。また、志藤の精力絶倫ぶりは己が一番心得ているという自負はあったが。
それでも、一年の間捨て置かれた経験は、そういった万が一の不安から怜子を解放してはくれなかった。
怜子の脳内には、“ママが喉から手が出るほど欲しいと思っている機会は与えるけど、ママが望むモノを全部与えるワケにはいかないわ”という意地の悪い娘の虚像がこの二週間ずっと棲みついていたのだった。
昨夜。自らが知る限りでは、英理が志藤に対して行動を起こした様子はなかったし、今朝早くから起きてきた英理の顔色からも、自らの恐れが現実になったとは思えなかった。それでもはっきりとした確信は持てず。
今、眼前の牡肉の凄まじい昂ぶりと、志藤本人の口から聞かされた言葉は、英理の意図はどうであれ、怜子の不安は杞憂に終わったことを意味していた。それは即ち、最大限に充填された牡精を独り占めし、その全てを己が肉体に浴び、享受できることを意味していた。
胸中に浮かんだ安堵と期待は、怜子を一層ねっとりと濃厚な奉仕へと勤行させた。
やや肌寒くなってきた外の気温とは反対に、高めに設定されたエアコンのせいか、怜子の貌が汗が滲む。いつもとは違ったゆったりとした極上の接待を受けながら、志藤は相変わらず不敵な笑みを浮かべてちびちびと酒を嗜んだ。普段とは一味違った情熱を伴った懇ろな“ご奉仕”に、口にする舶来ものの味わいはいっそう豪奢なものに感じられた。
ふと怜子が視線を頭上へと向けると、その様子を見下ろす志藤と視線が合った。伸びてきた志藤の手が怜子の顎のあたりを優しく撫でると、その意図を正しく読み取るように怜子は上体を起こして貌を近づけた。今度は志藤の方から唇を重ねてきたかと思うと、ヒンヤリとしたアルコールが再び口移しに怜子の口内へと注がれた。
机に置かれたグラスの中の氷がカランと音を立てる。口づけを解いて、うっすらと開いた双眸がドロリと蕩けていた。
その表情を確かめると、志藤の意識が次なる興へと移った。
「さて。貴重な社長のプライベートの御姿をたっぷりと鑑賞させていただきましょうか」
その含意を的確に読み取った怜子が次の行動へと移る。口元を軽く拭ってソファから降りると、ゆっくりとベッドへと歩みを進める。存在感のあるキングサイズのベッドの前に立つと、首だけを捩じるようにしてポーズを決めた。
コートの下にチョイスしたのは、美しいボディーラインが映えるタートルネックの黒いワンピース。ウエスト部に巻かれた大ぶりなバックルが大人っぽさを演出している。
膝上丈から覗く肉感的な腿はデニール数の低い黒いストッキングに覆われて、脹脛から先はシンプルな、こちらもやはり黒のロングブーツがセクシーさを強調していた。
ワンピースの丈の短さも、この美熟女の容姿と背丈、グラマラスな肉体があれば、丈の短さも年不相応な印象は与えず。
彼女の実娘も事あるごとに賞賛しているように、華やかな海外セレブリティのようにキマっている。北欧にルーツを持つ怜子自身もそんな自身の引き立て方を意識しているように思われた。
全身に漆黒を纏ったその異様な出立ちは、須崎怜子という美熟女を一層ミステリアスな存在へと仕上げているようだった。
以前からの英理の要請どおり、志藤と怜子の間では外での逢瀬は滅多になく、須崎邸の中、特に怜子、もしくは英理と志藤の私室で行われることがほとんどとなっていた。もちろん、それはこの非道徳的な家族の秘密を外部に漏らさぬためであったのだが。そうなると、一儀に及ぶ際、怜子がその肢体に纏う衣装は必然的にバスローブとその下に着飾った下着が多くなるのであった。
また、普段は仕事柄、そして社長という立場上、フォーマルな格好が多いし、ややカジュアルな服装を選ぶことがあってもビジネスの中で許容されるオフィス・カジュアルの範囲内に留まるのは当然のことで。だからこそ、義母たる女の、いつもとは違う装いをこうしてまじまじと見ることの珍しさに志藤は新鮮さを覚えた。
「私服姿での外出なんてそうそうありませんから、なんだか新鮮な感じがしますね。それにしても、怜子社長は黒のカラーが本当によく似合いますね」
若い情夫からの歯の浮くような世辞に無言の怜子であったが、その貌には妖しい笑みを浮かぶ。
「義母と息子という関係になっても、こんな社長の姿はそうそうお目にかかれませんから。記念に撮らせていただきますよ」
「構わないわ」
言うより先にスマートフォンを取り出して構えている若い男を嗜めることもなく。二つ返事で了承すると、まるでモデルを気取っているかのように様々なポーズを決めてみせる。
その恰好は“出張”には相応しいとは言えない装いだったが、それも先まで着込んでいたトレンチコートで隠した。朝早いからという理由で一家集まっての朝食をスキップして、ブーツは予め車に積んでおき、工房に訪れるという“出張”の名目に合わせて、パンプスを履いて出かけた。
そんな面倒なカモフラージュが功を奏し、英理や慎一にその不自然さに気付かれることなく出てきたのだった。
本音を言えば、娘と息子が家を発った後、自宅に戻ってゆっくりと準備もしたかったのだが、一刻も早く愛する男と共に小旅行へと出かけたいという気持ちが上回った。
志藤は過去に一度、まだ関係が断絶する前の時期、トレンチコートとブーツに身を包んだ怜子と落ち合ったことがあったことを思い出した。終業後、いつもの場末感漂うラブホテル。薄暗い感じがいかにも連れ込み宿のようないかがわしさを醸し出していた。大人の魅力に満ちた装飾を一つ一つ脱がせて。嫌々ながらも、最終的には押し切られる形でストリップに付き合った被写体を写真に収めた。カメラには常に非難がましい視線が向けられていた。
今、同じ被写体と撮影者がいるのは、都市の中心部にある、調度の整ったシティーホテル。自然光の明るさ。ただひとりの観客に向けた、積極的な肉体披露。被写体は同じといえども、眼前のショーは志藤の回想の中とは全く異なるムードで進行していることに、この貴婦人の変化を改めて認識する。
かつては志藤の舐め回すような視線に不快感を持っていた怜子も、今ではむしろ、自分の全てを余すところなく見せたい、とまで思っているのだった。